旦那や妻が刑務所にいても離婚できる?離婚できる条件や方法・注意点を弁護士が解説
旦那や妻が刑務所にいる場合でも、離婚することはできます。旦那や妻が何かしらの悪事を起こして刑務所に入ってしまったら、世間の目は自然に冷たいものになってしまうでしょう。そうなってしまえば、これからも家族として生活していくということに抵抗を覚える、なんてことは十分に考えられます。そこで今回は、旦那や妻が刑務所にいても離婚することができる条件や離婚の注意点について解説します。

「刑務所にいる旦那・妻と離婚をしたい」
「離婚後の生活のために慰謝料もできるだけ請求したい」
という方は、ぜひ一度弁護士へご相談ください。
弁護士に相談することで、下記のようなメリットを得られる可能性があります。
・刑務所にいる配偶者にあなたに代わって会い、離婚の説得を行ってくれる。
・慰謝料の交渉を代理で行ってくれる。
・離婚後の生活について的確なアドバイスをくれる。
弁護士へ相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。相談をすることで解決できる場合もあります。
少しでもお悩みのことがあれば、ぜひご相談ください。
カケコムでは、あなたにあった弁護士を見つけるサービスを提供しています。
刑務所にいる旦那や妻と離婚したい
配偶者と離婚をしたい。だけど旦那や妻は刑務所にいる。こんな状況に置かれている人もいらっしゃると思います。
旦那や妻が刑務所にいるときの離婚は事態が少し複雑化する他、離婚できたとしてもトラブルの危険性が高く、事前の準備や対策がより重要になってきます。
離婚するには本当にたくさんやることがあるので、しっかりと対策や解決策を理解しましょう。
今回の記事は、
- 旦那が刑務所にいるけど離婚したい人
- 旦那が刑務所にいるときの離婚について知りたい人
- 離婚について知りたい人
は要チェックです!
【旦那や妻が刑務所にいても離婚できるのか】早速本題へ。離婚はできるのか?

まずは、皆さんが一番気にしていると思われる「そもそも離婚できるのか」について解説していきます。
結論:刑務所にいても離婚することは可能
まず結論から言うと、旦那が刑務所にいたとしても離婚することはできます。
刑務所にいたとしても、夫婦お互いが離婚に同意し、離婚届を記入して役所に提出さえすれば離婚はできるのです。このように夫婦間の話し合いだけで離婚が成立することを、協議離婚といいます。
協議離婚が成立した場合、刑務所に離婚届を郵送し、配偶者に内容を書いてもらった上で自分でも記入、その後役所に提出すると言うのが一般的なようです。
しかし、もちろん話し合いなどで離婚に合意してもらえない…なんて場合もあると思います。
その場合は、裁判を起こし、裁判官に離婚判決を仰ぐことになります。
本来、離婚をする場合は協議を行い、それでも解決しなければ調停へ、それでもダメなら裁判へという流れですが、相手が刑務所にいる場合には調停を申し立てても刑務所から出て調停に参加できない可能性があります。
そのため、調停は申し立てのみ行い、調停ができない旨を訴状に書くことで、実質調停をスキップして裁判へ移行することになります。
裁判の場合に離婚できるかどうかについては、次の見出しで詳しくご説明します。
ただし、裁判だと離婚できるかできないかはケースバイケース
先ほど説明したように、離婚裁判は、一定の条件を満たさなければ起こすことができません。
さらに、裁判では民法に則った裁判官の判断で結論が出されます。なので、民法770条1項に定められている法定離婚事由にご自身の離婚理由が当てはまっている必要があります。第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。出典:民法770条
旦那や妻が刑務所に入ったことで離婚をしたい場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして、離婚を主張することができるでしょう。この主張が裁判官に認められれば、裁判で離婚を成立させることができます。
しかし、「旦那や妻が刑務所に入った」という事実のみで離婚が認められることは少なく、旦那や妻が犯した罪がどの程度のものだったのかや、再犯で反省が見えないのか等の面も考慮されることが多いです。
例えば、殺人等の重罪を犯していたり、再犯で捕まっていて反省が見えない場合等は、裁判でも離婚の判決をもらえる可能性が高いでしょう。
しかし、初犯で、軽微な犯罪とされる窃盗で刑務所に入っていて、その後真摯に反省して社会更生の意思も意欲的に見せている場合には、裁判官も刑務所にいる配偶者の気持ちを汲み、「離婚を認めない」という判決を下すことは十分あり得ます。
そのため、裁判をしたいと考えている方は、自分の置かれた状況を見極めながら準備をするといいと良いでしょう。
裁判で認められる離婚事由については、次の見出しでより具体的にご説明します。
【旦那や妻が刑務所にいても離婚できるのか】こんな時は裁判でも離婚できる可能性あり!

人それぞれ離婚できるかできないかは異なる!と言うことを前に説明しました。
それでは、具体的にどんな場合であれば裁判であっても離婚できるのでしょうか。
いくつか例をみていきましょう。
旦那や妻が刑務所にいても離婚できるケース(1) 強姦や殺人など重大な犯罪で刑務所にいる
強姦や殺人は数ある罪の中でも最上級に”悪”とされる罪状です。
この場合は、懲役も長く設定されることが多いと言うことに加えて、社会的な信用も取り戻すことが非常に難しいと思われます。
こうした理由によって夫婦の婚姻関係にヒビが入る、パートナーに対して不信感を持つようになる、といったことであれば裁判での離婚も可能である場合が多いでしょう。
旦那や妻が刑務所にいても離婚できるケース(2) 軽犯罪だが何度も繰り返し刑務所へ行っている
刑務所に入っている期間が長くなくとも、何度も何度も刑務所に入っているようでは相手に不信感が募るばかりでしょう。
夫婦はお互い支えあって生活していかなくてはならないのに、そんなこともつゆ知らずひたすら刑務所に入っては出て入っては出てを繰り返すような旦那であれば、離婚する理由として十分だと判断されることも多いと思います。
旦那や妻が刑務所にいても離婚できるケース(3) DVが原因による実刑など、身の危険が迫っている
DVをされ続けた結果、旦那に対する心は無く、旦那の事を考えれば考えるほど不安と恐怖が溢れてくる。
浮気をしたら報復する、毎日手紙を書いて愛してると必ず書けなどと言った脅迫も受けている。
このように、自分の身に何か実害がすでに及んでいる、もしくはこの先その可能性があることを証明できれば、離婚裁判を起こしたとしても勝てる可能性が高いです。
ただ、このような身近に危険がある場合は一人で解決しようとするのではなく、必ず弁護士や保護司とよく相談しながら慎重にことを進めてください。
旦那や妻が刑務所にいても離婚できるケース(4) 今までの結婚生活の中で民法770条1項各号に該当する離婚事由があった
旦那や妻が刑務所に入っているけれど、軽微な罪であったり、初犯で反省の姿勢が見えるため裁判では離婚が認められにくい場合でも、民法770条1項に該当する離婚事由が一つでもあれば、裁判で離婚を認めてもらえる可能性が格段に上がります。
例えば、配偶者が肉体関係のある不倫をしていた証拠がある場合は、民法770条1項1号にある「配偶者に不貞な行為があったとき」に当たりますし、DVやモラハラをしていたり、数年にわたる別居状態があり、その間一度も連絡を取っていないような状況がある場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
そのため、「刑務所に入っているから」というだけでは裁判で離婚が認められる望みが薄い場合には、その他に民法770条1項各号に当てはまる離婚事由がないかを確認してみましょう。
ご自身で判断が難しい場合には、弁護士に相談をしてみて、的確なアドバイスをもらうことがおすすめです。弁護士へ相談したとしても、相談のみで解決するのであれば依頼しなくても問題ありません。ぜひ下記よりお気軽にご連絡ください。
弁護士によっては、初回相談を無料でお受けすることも可能です。
【旦那や妻が刑務所にいても離婚できるのか】刑務所にいる配偶者に慰謝料を請求することはできる?
刑務所にいる配偶者に慰謝料を請求すること自体は可能です。
しかし、協議で慰謝料について決定できるのであれば、理由は関係なく相手の合意をもらうだけで任意の額の慰謝料請求が可能ですが、裁判で慰謝料を請求する場合には、あなたが配偶者によって精神的苦痛を受けたことを証明し、認めてもらう必要があります。
そのため、裁判で、配偶者が刑務所に入って離婚したことに対して慰謝料を請求したい場合は、精神的苦痛を受けたといえる論拠を用意しておきましょう。
また、慰謝料には相場があるため、その相場もある程度知っておく必要があるでしょう。慰謝料の相場はだいたい100~300万円ですが、金額の幅が大きく、精神的苦痛を与えた度合いや相手の資力等にも影響を受けるため、ご自身のケースだとどの程度の慰謝料請求が妥当なのかについては、弁護士に聞いてみるのが最も確実です。
慰謝料は離婚後の生活費の大きな足しにもなるため、非常に重要な要素です。
慰謝料の請求を検討している方は、ぜひ一度弁護士への相談も検討してみてください。
【旦那や妻が刑務所にいても離婚できるのか】離婚後のトラブルを回避するためにやっておいた方が良いこと
旦那や妻が刑務所にいるという点を考えれば、一般的に離婚する場合と比較しても離婚後にトラブルになりかねない…と思う方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、事前にできる対策について解説していきたいと思います。
刑務所旦那との離婚対策(1) まずは弁護士に相談してしっかりと準備する
やはり、こうした男女の関係を専門に扱っている弁護士に相談することが最善です。
離婚を考え始めた段階から相談すれば、その後もスムーズにことを運ぶこともできますし、法律を盾に身の安全を保障することもできるでしょう。
また、協議で離婚が確定しない場合は裁判まで引っ張ることになるので、弁護士への相談は必須だと言えるでしょう。
刑務所旦那との離婚対策(2) 離婚後のことは保護司にも合わせて相談する
保護司法第1条には、下記のように保護司の役割を規定しています。
第一条 保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の福祉に寄与することを、その使命とする。
出典:保護司法第1条
保護司とは以上の通りで、簡単に言うと更生をサポートしてくれる人のことを言います。
つまり、保護司に相談することで、刑務所にいる旦那に更生してもらうことが期待でき、自分の身の危険やトラブルを極力減らすことも期待できます。
そのため、離婚後のことについては、保護司にも相談しておくのがベターでしょう。
刑務所旦那との離婚対策(3) 裁判所に保護命令を申し立てを行う
保護命令制度とは、以下の通りです。
保護命令制度とは,配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力を防ぐため,被害者の申立てにより,裁判所が,加害者に対し,被害者へのつきまとい等をしてはならないこと等を命ずる命令です。
保護命令手続においては,保護命令の申立てをする被害者を「申立人」,申立ての相手となる配偶者や生活の本拠を共にする交際相手を「相手方」といいます。出典:裁判所「保護命令手続について」
つまり、この保護命令制度を利用することで、配偶者が出所した後もあなたの身の安全を確保できる可能性があります。
そして、この保護命令には、下記の5つがあります。
- 接近禁止命令
- 電話等禁止命令
- 子への接近禁止命令
- 親族等への接近禁止命令
- 退去命令
これらは被害を受けた側が申し立てを行えるので、状況に応じて裁判所に申し立てをし、身を守るための策を講じておきましょう。
【旦那や妻が刑務所にいても離婚できるのか】できるだけ協議で離婚成立させたいなら弁護士の手を借りるのが有効
前述した通り、裁判で離婚を成立させるには、民法770条に該当する離婚事由があると裁判官から認めてもらわなければなりません。慰謝料請求に関しても、精神的苦痛があったことを証明する必要があります。また、裁判となると離婚の話し合いは長期になってしまいやすいです。
そのため、できれば離婚は協議の段階で成立させた方が良いといえます。
協議で離婚を成立させることができれば、精神的負担や時間の負担も裁判に比べて少なく済みますし、協議であれば相手から合意をもらうことさえできればどんな理由でも離婚や慰謝料請求ができるからです。
ただ、はじめて離婚する方が刑務所に入っている配偶者と連絡を取りながら、相手を説得させ、法的な内容を取り決め、手続きを行うのはなかなかハードルが高いものがあると思います。
そんな時に役に立つのが、弁護士です。
弁護士に依頼をすれば、あなたに代わって相手と法的な根拠を交えて説得力の高い交渉を行うことができますし、慰謝料についても相場がわかるため、スムーズに慰謝料請求ができます。
協議で離婚を成立させたい場合には、ぜひ弁護士に頼ってみてください。
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まとめ
今回は、旦那や妻が刑務所にいる際の離婚に関する疑問、そしてその方法や対策などについて説明していきました。
離婚したい人で配偶者が刑務所にいるという方は、数としてはあまり多くないのかもしれませんが、いざ当事者になってしまったときには以上のような対策や流れを理解しておく必要があります。
また、今こういった状況に置かれている方は、是非一度離婚に強い弁護士に相談することをお勧めします。
やはり、刑務所に服役している間に離婚を突きつけられる側としては厳しい現実でしょうし、なかなか受け入れがたい事実だと思われます。そこであなたに怒りの矛先が向く可能性も十分に考えられるのです。
なのでこちら側もできる限りの対策をして、離婚に備えましょう。
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・弁護士費用は、分割払いや後払いが可能な場合もあります。
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