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バイトテロは何罪?企業が取ることのできる法的措置、賠償額について解説

TwitterやTiktokをはじめSNS気軽な情報発信ツールとして親しまれています。その一方で、情報発信の容易さと拡散力の強さから動画投稿によって大きな損害を受ける事例も発生しています。この記事では伊奈さやか弁護士に飲食店をターゲットに行われるバイトテロや客テロと呼ばれる行為の違法性や対処法について解説していただきます。

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飲食店を襲う迷惑行為とは?

飲食店での迷惑行為をSNSに投稿する行為がニュースとなることがあります。仲間内で楽しみたい、承認欲求を満たしたい、有名になりたい、理由はさまざまですが、特に飲食店での迷惑行為は、店側の衛生状態や部下指導への不信につながりやすく、大きな問題になります。

飲食店の客が迷惑行為を投稿するだけでなく、従業員が店内や厨房内で撮影した不適切な動映像を拡散する場合もあります。後者は特に「バイトテロ」と呼ばれます。

これまで起きた迷惑行為にはどんなものがある?

かつてはバカッターと呼ばれることもあった迷惑行為ですが、現代はTwitterの他、InstagramやTikTokで投稿されることもあり、炎上した投稿がSNSを跨いで拡散されることも珍しくありません。

ここでは、その一例を紹介します。

蕎麦屋が3ヶ月で廃業に追い込まれた

2013年、蕎麦屋「泰尚」でアルバイトをしていた多摩大学の男子学生がTwitterに「食器洗浄機で寝そべる画像」や器で胸部を隠す画像を投稿し、話題になりました。その影響で、この蕎麦屋は3ヶ月後に廃業してしまいました。

ブロンコビリーが1週間で閉店

こちらも2013年、足立区の「ブロンコビリー」でアルバイトをしていた18歳男性が冷蔵庫に入っている姿をTwitterに投稿し、話題となりました。その翌日にはお店が休業となり、翌週には閉店となってしまいました。

スシローでの事件。一時期は株価が大きく下がる事態に

こちらは2023年、上記2例と異なりTikTokに「動画で」投稿されました。スシロー岐阜正木店にて男子高校生がテーブルの醤油ボトルや未使用の湯呑みを舐める様子がさまざまなSNS上で拡散され、ニュースとなりました。

飲食店への迷惑行為はどのような責任を伴うのか?

刑事責任

迷惑行為により、店舗などの営業行為を妨害した場合には、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性があります。偽計業務妨害罪の「偽計」の範囲は広く、蕎麦屋に偽の注文をして配達させた行為なども「偽計」に該当します。

また、食品にいたずらをして食べられないようにしたり、洗浄する機械に横たわって機械の能力を損なった場合、本来の効用を害したとして器物損壊罪(刑法261条)が適用される可能性があります。

これらについては、警察に被害届を提出したり、告訴状を提出して、捜査を開始するきっかけを作る必要があります。

参考:(信用毀損及び業務妨害)刑法第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(器物損壊等)第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

民事責任

従業員の迷惑行為については、その従業員に対し、不法行為(民法709条)または債務不履行(民法415条)に基づいて、損害賠償を請求できます。

不法行為は、他人の権利や利益を侵害する行為をいい、迷惑行為はまさにこれに該当します。

また、従業員は雇用主に対して、雇用契約の内容に沿って働く義務がありますが、就業中の迷惑行為はこの義務に違反しますので、契約違反として債務不履責任を追及できます。

請求できる損害としては、例えば、店舗を休業した場合には、本来店舗を営業していたら得られたであろう利益(逸失利益)や、新しく物を仕入れるのにかかった費用、店内の清掃にかかった費用、別の人材を派遣してもらうのにかかった費用が挙げられます。

バイトテロをした人を解雇できる?

バイトテロをした従業員については、懲戒解雇が可能か検討することになります。

懲戒解雇をするには、まずは、会社内に懲戒解雇について定めた就業規則があることが必要です。

そして、就業規則上に規定する、懲戒解雇の事由に該当するかどうかを検討します。

また、懲戒解雇をする場合には、適切な手続を得ることが必要です。

就業規則に、懲戒解雇の手続として本人からの弁解の機会を設けることが規定されている場合には、必ず本人からの弁明を聞きます。もし、就業規則に弁明の機会について規定が無い場合でも、懲戒解雇という重大な処分を課すことになりますので、本人からの弁解をきく開会は設けておいたほうがベターです。

懲戒解雇は重大な手続ですので、実際に懲戒事由に該当するとしても、慎重に判断する必要があります。

全国的に大々的にニュースになり、その結果、店舗を閉鎖したり、休業したりしなければならず、多大な損害が生じた、という場合は違反の程度が大きく、懲戒解雇が有効となる可能性は高いと考えますが、

SNSに投稿はしたもののすぐに削除した場合や、あまり拡散されずに実害がなかったというような場合は、解雇は相当ではないと判断される可能性もあります。

その場合は、解雇以外の、懲戒をして、しっかりと本人に注意をすることが大切と考えます。

飲食店が迷惑行為を受けたらどう対処する?

まずは証拠保全を

迷惑行為の動画が一番の証拠になりますので、動画が削除される前に、ダウンロードするなどして証拠を保全しておく必要があります。

また、迷惑行為を行った者と、投稿した者が別の場合には、投稿した者が誰かも特定するように社内で調査します。

動画などの客観的な証拠を手に入れたら、迷惑行為をした者から事情を聞きますが、このときには内容をしっかり記録として残しておくことが大切です。

また、以前にも同様なことがなかったか、社内の他の社員からアンケートをとる、聞き取りをする、ということも平行してやっておくとよいでしょう。

謝罪と再発防止の広告で信頼回復を

対外的には、まずは謝罪をすることが必要ですが、詳細がわからないうちに、謝罪会見などを開くと、記者からの質問に回答できないこともあるので、どのような方法で謝罪をするのかは十分な検討が必要です。

現在調査中ということでも、まずは、謝罪する内容を自社ホームページ等に記載するのがよいと考えます。

そして、社内で再発防止策を策定すること、策定したことも、自社ホームページ等で公表するとさらによいでしょう。

対処方法がしっかりしていることで、企業の評価があがることはあります。

コンプライアンス研修の徹底

再発防止策のひとつとして、社内のコンプライアンス研修を徹底するという方法もあります。

事故が起きたことを良い教育の機会と捉えて、取締役、管理職、一般従業員とその立場に応じたコンプライアンス研修をするのがよいでしょう。

コンプライアンスと言っても多種多様です。

研修を実施する前に、なぜこのような事が起きたのか、社内に問題がなかったのかを確認し、問題点に対応した研修を実施することが大切です。

バイトテロ・客テロに対する賠償請求・再発防止は弁護士へ相談を

バイトテロや客テロに帯する損害賠償請求や、再発防止については弁護士に相談し、対処法をきくのがよいと思います。

また、懲戒解雇の場合も、後から解雇無効の訴訟が起こされる可能性も0ではありません。

ですので、懲戒解雇をする前に、一度弁護士に相談しておくと安心です。

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