架空料金請求詐欺とは?手口や対処法・回避策等を弁護士が解説
架空料金請求詐欺の手口や対処法をご存知ですか?架空請求はとても身近な詐欺のひとつで、実際に利用していないにもかかわらず、高額な利用料を請求されるという詐欺です。 迷惑メールでよく見かけることはあるかと思いますが、記載してある連絡先に連絡してしまうと個人情報が流出してしまうリスク等が考えられます。この記事では、架空料金請求詐欺に遭った場合の対処法等を分かりやすく解説します。

「見覚えのない請求が来たが、お金を振り込んでしまった」
「架空請求で振り込んでしまったお金を返金してほしい」
そんなお悩みをお持ちの方は、弁護士に相談することでさまざまなメリットがあります。
弁護士に相談・依頼するメリット
・送金をする前に相談することで、適切な対処を取ることができる。
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架空料金請求詐欺とは?
架空請求はとても身近な詐欺のひとつで、実際に利用していないにもかかわらず、高額な利用料を請求されるという詐欺です。
架空請求では、「最終通告」や「支払わなければブラックリストに載る」といった心理的に追い込まれる言葉を多用することが特徴的です。
スマホに来た架空請求詐欺のメールを友達に見せたら、クリックしてURL開いちゃって、その後30分に1通のペースでメール届いてて閉口してる。マジ勘弁して欲しい。特定の文字列を含んだメールを受信拒否出来るようにしてくれるだけで、かなり対策出来るんだけど、ドコモこれ導入してくれないかな。
— 猫の逆襲 (@nekonogyakusyuu) 2016年10月31日
このようにワンクリックだけでも、架空請求が止まらないことがあります。決して身に覚えのない請求を訴えるメールのリンクを開いてはいけません。
心当たりがない請求については、相手の言葉に焦って振り込む等の対応をせず、一度冷静になって考えてみることが重要です。
架空料金請求詐欺の手口のパターンとは?
まず架空請求詐欺の中で一番多いものは、サイト利用料の未納を理由に支払いを請求されるパターンです。
使ってもいないサイトの利用料金を請求され、払わない場合法的処置を取ると迫ってきます。
連絡手段としては、SMS(ショートメールサービス)で届いたり、ハガキで届いたりとバリエーションはさまざまです。
それでは、具体的にどのような架空請求があるのか見ていきましょう。
よくある架空請求の内容
【ワンクリック詐欺】
- 知らない相手や、有名企業を装った人物からメールが来る。リンクを押すと架空請求される。
- 動画サイトのバナー広告をクリックしてしまい、請求画面から離れられない。
【アダルト動画・出会い系サイトに関わる請求】
- 18歳以上というボタンをクリックした途端に「登録が完了されました」という画面があらわれ、請求が発生。
- スマホのシャッター音が鳴り、勝手に会員登録された。
【有料サイト利用料の請求】
- 競馬、パチンコなどの必勝サイトが無料だと思っていたら有料だった。
【電子通信料の請求】
- 見知らぬスマホの利用料がメールで請求されている。
などが考えられます。
これら以外にも様々な内容で見知らぬ請求を当事者が「払わないといけないのかも」と、心配になるような文脈・ワードと共に送りつけてきます。
よくある架空請求の方法
- 電子メール
- SMS
- 電話
- PCの画面をハッキングし、請求書が消えないようにする
- 封書
- 葉書
- 司法制度を利用した請求
など、実際に対面で請求を訴えるようなことは少ないですが、電話で架空の請求を訴えられることはあります。
その場合焦ってしまう方が多いですが、落ち着いて正しい判断をしましょう。
裁判所の関係者等を装った人物から支払いを催促されることも
架空請求の解決を名目に、裁判所の関係者等を名乗った人物が連絡をしてくるパターンもあります。
「架空請求業者に個人情報が流出しているため、早急に問題を解決する必要がある」などと連絡をしてくるのです。いわゆる「劇場型」と呼ばれるパターンです。
架空請求詐欺は年々巧妙化しており様々なパターンがあります。焦って冷静な判断ができず架空請求詐欺に遭ってしまう方も増えているようです。
このような事態を防ぐためにも、次の見出しでは、具体的な架空請求詐欺の事例について詳しく解説しています。
架空料金請求詐欺の事例
架空料金請求詐欺の事例は、警察庁の「特殊詐欺対策ページ」の下部で紹介されています。
犯行グループからの実際の電話の音声を聞けたり、メールやはがきで架空請求が来る場合にはどんな文面なのか等を知ることができます。
今後の対策のためにも、ぜひ一度確認してみてください。
架空料金請求詐欺に騙されないためには?
次は、架空料金請求詐欺に騙されないための対策をご紹介します。
特殊詐欺対策ページ等で情報を収集する
架空請求詐欺に遭わないためにも、特殊詐欺対策ページなどで情報を収集しておきましょう。
架空請求詐欺に対する最大の対策は、どのような事例があるか知っておくことです。
「架空料金請求詐欺の事例」でもご紹介したように、警視庁の特殊詐欺対策ページでは、過去の事例や音声データなどが紹介されています。また、実際に送られてきた書類などが掲載されており、非常に参考になります。
被害に遭う前に、しっかりとチェックしておきましょう。
<参照>特殊詐欺対策ページ
簡単に個人情報を教えない・相手の言うことに従わない・無視する
また、架空請求業者からの連絡で簡単に個人情報を教えないことが大切です。架空請求に対する最善の方法は「無視」です。相手の言うことに決して従わないようにしましょう。
なぜなら、架空請求業者はあの手この手を使い情報を引き出したり、お金を払わせたりするプロだからです。
出典:https://www.nagano-shohi.net/akushitsu/kaku-seikyu.html
こういったアナログでの請求書が来た場合、
出典:https://www.nagano-shohi.net/akushitsu/kaku-seikyu.html
こういったオンラインでの請求が来た場合、どちらも基本的には無視しましょう。
何かをクリックし、「会員登録が完了しました」というメッセージが表示されても、法律上、契約が成立するためには「申込み」と「承諾」の二つの意思表示が合致してないといけません。
相手の「申込み」自体が存在せず、ボタンをクリックしたのみでは、承諾する余地もなく有効にはなりません。
無視することが架空請求への一番の対処法です。
架空請求業者への間違った架空請求の対処法
先の項目では騙されないための対処法をご紹介しましたが、この項目では間違った対処法をご紹介します。
下記のような対応は架空請求業者への対応として間違っていますので、避けるようにしましょう。
- 請求内容を本当の請求なのか確認せずに騙されてそのまま支払う。
- 契約していないことを架空請求業者に一応伝えておくため連絡する。
- 面倒くさいから、覚えがなくても支払う。
- 面倒なので適当に「後で支払う」と言った約束を交わす・・・など。
折り返し架空請求業者に連絡をしてしまうと、電話番号、住所、名前などの個人情報を聞き出されて情報が流出してしまう可能性があります。
また、疑わずにお金を支払ってしまうと、「この人は騙される人」という認識を架空請求業者に持たれ、ターゲットリストに入ってしまう可能性もあるでしょう。
適当に「後で支払う」と約束してしまった場合には、その約束の記録をとられ、それを証拠にしつこく請求してくる場合があります。
「面倒に巻き込まれたくない」という心理が付け目です。徹底的に無視・放置しましょう。
架空請求業者に間違えて応えてしまった場合の対処法
万が一無視できずに、架空請求業者に対応してしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?ここでは実際に架空請求業者に応えてしまった場合の架空請求の対処法をご紹介します。
メールで相手に連絡をしてしまった場合
メールで何かの間違いだと抗議のメールや退会要請のメールを送ると、相手はそのメールを便りにメールアドレスが知れてしまいます。
そのため、下記のような対応を念の為送りましょう。
- パソコンをウィルス、スパイウェアのスキャン及び削除。
- それ以降の見知らぬメールをのリンク先をクリックしない。
- 届いたメールを削除するか、いざ戦うための材料としてメールを保存する。
- 国民生活消費者センターに連絡や相談する。
- 金銭的被害などがあれば警察に被害届けを出す。
- 最終手段としてメールアドレスの変更。
怪しい電話が来るようになった場合
まず、このような電話には絶対に出ないのが原則ですが、
- 録音できる電話を用意して録音する。
- 脅迫、恫喝的な言動があれば警察に提出(弁護士に立ち会って貰うと良い)
- 内容をメモするのも効果ありです。(これも証拠となります。)
- 執拗なく電話が掛かってきても毅然と立ち向かう事(こちらは何も悪くない)。
- 国民生活消費者センターに連絡や相談する。
- 金銭的被害などがあれば警察に被害届けを出す。
- 電話の着信拒否や電話番号の変更。
架空料金請求詐欺業者との契約が成立してしまった場合
万一架空料金請求詐欺に対して意思表示してしまった場合でも、下記の民法96条により、契約の取り消しが可能です。
民法96条
詐欺又は脅迫による意思表示は,取り消すことができる。
2項3項略
実際に架空請求業者に支払ってしまったお金を取り戻すことはできる?
実際に架空請求業者にお金を支払ってしまった場合でも、民法703条、704条により、取り戻すことが可能です。
民法703条
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け,そのために他人に損失を及ぼした者は,その利益の損する限度において,これを返還する義務を負う。民法704条
悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において,なお損害があるときは,その賠償の責任を負う。
しかし、お金を取り戻すには、犯人を特定したり、犯人に対して返金請求や交渉を行う必要があります。警察に詐欺被害を報告し、動いてもらえた場合、犯人の特定は期待できるかもしれませんが、警察が犯人に対して返金請求を行ってくれることはありません。
そのため、返金の請求を行いたい場合や、警察が動いてくれないため犯人の特定も行いたい場合には、弁護士へ相談しましょう。
弁護士に依頼し、犯人を特定することができれば、犯人へ返金請求を行ってもらうことが可能です。また、代理で犯人と交渉してくれる可能性もあります。
返金希望の際は、まずは弁護士へ相談してみましょう。カケコムなら、初回の相談を無料で受け付けている弁護士も登録しています。
架空料金請求詐欺に騙されたら?支払ってしまった場合の対処法
実際に架空料金請求詐欺に騙されてしまい、料金を支払ってしまった場合などは、どうすれば良いのでしょうか?
警察の相談窓口(#9110)へ連絡
まずは警察の相談窓口へ連絡しましょう。
架空請求詐欺で警察に相談する場合は、「110番」ではなく、「#9110」に連絡しましょう。110番通報はあくまでも緊急通報で、緊急対応の必要性が低い架空請求は警察相談専用電話#9110になります。
警察相談専用電話では、専門の相談員(警察官、元警察官など)が相談対応にあたっています。
場合によっては匿名での相談も可能となっていますので、「詐欺かな?」と思ったら電話をしてみましょう。
弁護士へ相談
前述したとおり、弁護士へ相談・依頼することで、犯人を特定できたり、犯人に対して返金請求を行ったりすることが可能な場合があります。
「支払ったお金を返してほしい」等の要望がある場合には、一度弁護士へ相談してみましょう。
弁護士への相談が早期解決への道になるでしょう。
三輪弁護士からのメッセージ
架空請求に対する正しい対処法の第一歩は、架空請求についての知識を得ることだと思います。上記の記事はそのために非常に役立つ内容が列挙されていると思われますので、心得ておくのがよいでしょう。