無料相談と有料相談はどう違う?知っておきたい無料相談の注意点
弁護士相談の敷居が高いと言われながらも、初回相談を無料にしている事務所は少なくありません。弁護士検索サービスを見ても、やはり無料相談は相談者にとって魅力的であることが伺えます。しかし、無料相談は敷居が低い反面「相談料を払わない」ことによるデメリットもあるようです。
今回は、無料相談の見えないデメリットや有料相談と無料相談を使い分けるポイントを弁護士の伊奈さやか先生にご解説いただきます。

無料相談の注意点はどこにある?
まずは無料相談の注意点をいくつかご紹介します。
法律相談の質は変わらない
無料相談であるからと言って、法律相談の質は変わりません。
弁護士は信義誠実に職務を行わなければならず(職務基本規程5条)、相談という業務について、無料だからといって適当に回答してよい、ということにはなりません。
また、弁護士事務所として無料相談を取り入れている事務所の多くは、無料相談で広く事務所の門戸を広げて、その後の受任につなげようと思っているわけですから、相談の対応をしっかりとすることは特に受任につなげるためには重要です。
これらの理由から、無料相談であっても、有料の相談であっても、法律相談の質は変わらないといえます。
弁護士依頼に繋がらない案件は断られやすい
上記で説明したように、無料相談を可能としている事務所は、無料相談とすることで門戸を広く広げて、その先の受任につなげたい、という狙いがあることがほとんどです。
ですので、中には、受任、つまり弁護士への依頼につながらないような相談については、事前に断られる可能性はあります。
例えば、
「自分で訴訟を提起することを考えているので、訴状の作成方法を教えてほしい」
「調停を自分でやりたいので注意点を教えてほしい」
「相続が発生していないが、一般的なことを教えてほしい」
というような相談は断られやすい例として挙げられます。
ただ、このような相談でも、実際に相談を受けていくなかで、依頼につながることはありますので、そのような経験を知っている事務所は、無料相談としてでも受けると思います。
調査が伴う案件も断られやすい
無料相談の内容が専門的であったりして、一定程度調査が必要そうなものの場合、無料の範囲外として断られる可能性はあります。
例えば、
「自分と同じような事例で損害賠償が認められた判例を教えてほしい」というような調査そのもののといえる相談の場合や
「〇〇国での事業を考えているので、その国の起業における法規制を教えてほしい」というような特殊なケースの場合です。
ただ、この場合でも、対応する弁護士事務所が扱う専門性の範囲内のものの場合には、調査しなくても回答できたり、調査するにしても時間がかからないことから、無料相談で受け入れてくれる場合もあります。
そもそも、ご自分の相談について、専門的であることや複雑性があることをご自身でわかっている場合には、相談する先の事務所は、同種の案件を扱ったことがある事務所や、その事例を含む内容を専門としてやっていると掲げている事務所のほうがベストです。これは有料相談にしても同じことで、専門性のある事務所のほうが、適切な回答が得られる可能性が高くなります。
スケジュールに融通が効かない
無料相談の場合、どうしても、他の業務に比べて優先度が低くなる、という傾向は否定はできません。
弁護士の業務時間を、弁護士にお金を払って依頼した人、お金を払って相談する人のために優先的に利用し、空いている時間に無料相談に対応する、ということはあります。
ですので、すぐに相談したい、というような場合には、無料相談ではなく、有料相談のほうがいいです。
ただ、弁護士の人数が少なかったり、忙しい事務所の場合には、有料でもすぐに弁護士に相談できないこともあります。
また、夜間や土日に相談したい場合にも、無料相談よりも有料相談のほうが、対応可能な場合は多いかと思います。
無料相談は実質的な社会サービスととらえて実施しているような事務所の場合には、土日にサービスはしない、という考えもありえるからです。
こんな場合に有料相談の利用が効果的です
これまでみたように、弁護士事務所に無料相談する場合の注意点はお分かりいただけたかと思います。それを踏まえて、有料相談の利用が効果的な場合も説明します。
自分の抱えている不安や疑問についてしっかり答えて欲しい
法律相談を検討している場合の多くは、目の前に紛争や紛争になりそうなことがあり、とても不安な状態です。
法的な正解を知りたい、ということもありますが、今の自分の漠然とした不安も取り除いてもらいたいと思うのではないでしょうか。
その場合には有料相談にすること、つまり対価をしっかり払うことが大切といえます。
まず、多くない事務所が、無料相談の時間は短めに設定していて、有料相談の時間を長めに設定していることがあります。十分な相談をするには、十分な時間があることは必須です。
次に、不安な気持ちというのは、ご自分がしっかりと不安なところを弁護士に説明することが大切ですが、弁護士の側に聞く態度がないと、実は難しいものです(この点は私も自戒の意味をこめて書いています。)。有料相談とすれば、弁護士の態度が変わる可能性は高いといえます。
なお、事前に相談の概要をメールなどで説明しておくと、弁護士も事前に相談がスムーズに進み、適切かつ十分な回答を得られる可能性が高くなります。
弁護士に依頼するかどうか、しっかり検討したい
弁護士に依頼することも視野にいれている場合には、法律相談の時間は、相談する弁護士が信頼できるか、これから自分の事件を任せて問題ないか、ということを見定める機会にもなります。
そのためには、相談の回答内容や相談に向かう態度が重要になってくると思います。また、離婚事件や相続案件などの場合には、長く続くことや、汲み取ってほしいことが法的なことではなくこれまで苦労したことなどの感情面だったりするので、弁護士の人柄や、その弁護士との相性、というのも大切になります。
そこで、じっくり相談するとともに、ご自分が相談時に思った不安なこと、今後の対応策などを、ご自分から積極的にきくためには、有料相談のほうがよいでしょう。
弁護士の側も、無料相談の方の場合には、無料だからと気軽に相談する人もいるために、その方の困り度や依頼に対する本気度が低いことが多く、一般的な回答で終わらせる場合もあります。
しかし、有料相談の場合には、相談する側の困り度や本気度が高いことが潜在的に高いので、対応としても、今後の受任を見据えた内容になることも多くあります。
このようなことから、弁護士に依頼するかどうかしっかり検討したい場合には、有料相談がおすすめです。
即日、遅くとも明日までに相談したい
いますぐ不安を解消したい!
すぐに解決しないと困ることが起きた!
というような場合には、早急に弁護士に相談したいと思うのが通常です。
この場合、無料相談とすると、他の日程の後回しになってしまうこともあります。
ですので、急いでいる場合には、有料相談一択です。
ただ、先にも述べたとおり、弁護士の予定が詰まっているということは、有料相談の場合でもありえることで、有料相談だから必ずしもすぐに対応できるわけではありません。
事件対応以外のリーガルサポートもして欲しい
弁護士に依頼したいけど依頼する程の費用がない、というような場合に、訴訟遂行や調停の手続きを自分で行う方は一定数います。
この場合に、弁護士に代理人として事件の対応はしてもらうことは検討していないが、何かこまったときに、随時相談に乗ってほしい、サポートをしてほしい、という方もいらっしゃいます。
そのような場合は、有料相談がベストです。
無料相談は1回のみ、という法律事務所もありますので、継続して相談する場合には有料相談になるのがほとんど、ともいえます。
また、相談時に契約書のチェックもしてもらいたいというリーガルサポートを受けたい場合は、有料相談が必須です。なお、通常は、相談料よりも契約書確認の費用のほうが高く設定してあるので、別途料金を請求されるところがほとんどではないかと思います。
さらに、法的な手続の代行をしてほしい、意見書を書いてほしい、というような、紛争案件以外のリーガルサポートについても、特殊な内容が多くなるだけに、有料相談のほうが、しっかりと対応してもらえる可能性が高いと思われます。
まとめ
「しっかりとご自分の悩みを解決したい」「依頼も見据えて相談したい」「すぐに相談したい」というような場合には無料相談ではなく、有料相談のほうがいいです。
しかし、弁護士によっては有料であってもすぐに相談の日程が入らないということもあります。
その場合には、空いている日程から、相談できる弁護士を探す方法も一案です。