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【完全攻略】離婚で損しないお金の話

離婚を考えた時、気にしなければならない大きな項目の一つにお金の問題があります。

離婚をするにあたってのお金の問題は様々です。その中でとりわけ重要なのは以下の4つです。

  1. 財産分与
  2. 慰謝料
  3. 養育費
  4. 年金分割

また、離婚後の収入の足しになる様々な助成金制度も用意されており、代表する7つは以下になります。

  1. 児童手当
  2. 児童扶養手当
  3. 児童育成手当
  4. ひとり親家族等医療費助成制度
  5. 母子家庭・父子家庭の住宅手当
  6. 年金・保険の免除
  7. 税金の減免

これら離婚に関わるお金についてご紹介していきます。

【離婚時に問題になるお金】

①財産分与

財産分与は、その言葉のとおり、夫婦が持っている財産となる金品を、離婚にあたってしっかり分けることを言います。

基本的な財産分与では、夫婦が結婚してから築いてきた財産を夫婦それぞれの個人財産として分けることになります。

例えば車など名義人が明記されているものでも、結婚後に購入したものであれば夫婦の財産という事となり財産分与の対象となります。

分けられる財産はあくまでも結婚した後に夫婦で作った財産ですので、結婚前からしていた定期預金などは含まれないことがあるので注意が必要です。

財産分与には大きく分けて3種類の方法があります。

  • 清算的財産分与:夫婦が結婚期間中に協力して築いた財産を分ける、一般的な財産分与の方法
  • 扶養的財産分与:離婚後に経済的優位に立つ方が、配偶者に向けて一定額を定期的に支払う場合
  • 慰謝料的財産分与:本来慰謝料として支払うべきお金を、財産分与という形で支払う場合

また、夫婦には、同レベルの生活ができるようお互いを助け合う「生活保護義務」が存在します。その為の婚姻費用が離婚前の別居の段階などで適切に支払われていなかった場合、婚姻費用の清算としての財産分与を相手に請求することもできます。

実際にどこまでが財産分与の対象になる財産なのか、離婚時にしっかり確認しましょう。

②慰謝料

離婚の慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償です。

民法709条によると「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

条文のようにある人の行為によって他者の権利や利益が損なわれた場合、行為者はこの埋め合わせをしなければならないのです。

さらに後続する条文には以下のようにあります。

「第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。 」

したがって具体的な金額に算定することが難しい事柄であったとしても(例えば、名誉や自由の侵害)、行為者は損害に対して求められる賠償を支払うことが必要です。

離婚によって生じる慰謝料とは

  • 離婚自体によって生じる苦痛を賠償するもの
  • 離婚の原因によって生じる苦痛を賠償するもの

の二種類が考えられます。前者は「離婚慰謝料」とよばれ、後者が「離婚原因慰謝料」と呼ばれます。

前者の離婚それ自体から生じる苦痛は場合によっては当事者間で合意相殺される可能性もあるのですが、後者の離婚原因による精神的苦痛は、後述の「有責者」に同定されますので、離婚の場合には後者の話し合いが中心になることが多いといえます。

離婚の慰謝料は誰が支払うのでしょうか? 原則として

  • 離婚の原因になった人が支払う
  • 家族にも請求可能
  • どちらにも責任がある場合は、慰謝料を決定後相殺される

という3点に基づいて支払う人を決定します。

浮気相手にも慰謝料請求できる? 離婚の原因を「浮気」に絞って考えてみましょう。

この場合気になるのは浮気相手の責任です。 離婚の原因が相手の浮気だった場合、その浮気相手にも慰謝料が請求できるか気になりますよね。

浮気相手への請求は

  • 基本的には請求可能
  • 「浮気だと知らなかった」場合は請求不可
  • 夫婦関係が既に破綻していた場合は請求不可

と、状況によって分かれます。

③養育費

子連れ離婚の場合必ず考えなければならないのが離婚後の養育費の問題です。いくつかの誤解を指摘したうえで、養育費の支払い義務、具体的な請求方法を確認しましょう。

離婚時の養育費について(1):子供の扶養は親の義務

一部の人は親権を放棄すれば養育費を支払う必要がないと勘違いしていますが、養育費と親権者であるか否かは関係ありません。

また面会交流等を一切行わない親の場合にも関係なく離婚後の養育費の支払いが義務となります。

離婚時の養育費について(2):慰謝料とは全く別の問題

また慰謝料を支払うことと離婚後の養育費の支払いを混同しているケースも見受けられますが、全く別物です。

したがって慰謝料と養育費のどちらも支払うことが必要なケースもあります。

たとえ慰謝料の支払いを免れた場合でも離婚後の養育費の義務は全く別の問題として存在しているのです。

離婚時の養育費について(3):子供が成人した後も請求できる?

さらに養育費とは未成年者に対して支払うものであるというのも誤解です。

養育費が支払われるのは「子供が扶養を必要としなくなるまで」と考えられています。

したがって、離婚成立時の協議内容によっては大学を卒業できるまでの期間を「養育費」支払いの期間とすることも可能です。

子育て費用に関しては、子供が公立校に進学するか私立高に進学するかで大きく変わりますので、金額設定は綿密に行いましょう。

④年金分割

離婚から2年以内に忘れずに請求しなくてはいけない年金分割には、3号分割制度と合意分割制度があります。

【合意分割制度】

離婚等をし、以下の条件に該当したときに、当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。

  • 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
  • 当事者の合意または裁判手続きにより按分割合を定めたこと。(合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。)
  • 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。

なお、合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。

したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

3号分割制度

離婚等をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。

  • 婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間があること。
  • 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。

なお、「3号分割制度」については、当事者の合意は必要ありません。ただし、分割される方が障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。

【離婚後の収入の足しになる助成金】

①児童手当

児童手当は、中学校修了までの国内に住所のある児童が受給できます。

ひとり親家庭でなくとも受給できる手当です。

年1回申請をしなくてはいけませんので、忘れないようにしましょう。

0~3歳未満 一律15,000円

3歳~小学校修了まで

第1子、第2子:10,000円(第3子以降:15,000円)

中学生 一律10,000円

所得制限以上 一律5,000円

[出典:内閣府 児童手当制度の概要

②児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚などによるひとり親家庭に支給される手当です。

18歳になってから迎える3月31日まで支給され、金額は所得によって異なります。

児童1人の場合(本体月額)

全額支給(所得制限額未満)

月額42,500円

一部支給

所得に応じて月額42,490円から10,030円まで10円単位で変動

 

児童2人目の加算額

全部支給:10,040円、一部支給:10,030円から5,020円まで10円単位で変動(所得に応じて決定されます)

児童3人目以降の加算額(1人につき)

全部支給:6,020円、一部支給:6,010円から3,010円まで10円単位で変動(所得に応じて決定されます)

 

※児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて毎年額が改定されます(物価スライド制)。

[出典:東京都福祉保健局 児童扶養手当

③児童育成手当

児童育成手当というのは、東京都がひとり親家庭の支援のために実施している制度です。

20歳未満の障害を持つ児童を養育しているひとり親家庭に支給されます。

金額は、該当する児童1人につき15,500円です。

④ひとり親家族等医療費助成制度

こちらは、ひとり親家庭の経済的不安を軽減するために、医療費の一部を地方自治体が助成する制度です。

助成を受けられるのは、ひとり親家庭の児童が18歳を迎えて最初の3月31日までです。

⑤母子家庭・父子家庭の住宅手当

自治体によっては、18歳未満(または20歳未満)の児童を養育しているひとり親家庭に、住宅手当を助成しているところもあります。

例えば、東京都東村山市では月5,000円の家賃補助をしてもらえます。

⑥年金・保険の免除

国民年金保険や国民健康保険の保険料は、事情があって経済的に保険料を納めるのが難しい場合には、減免できる場合があります。

いずれも本人が、減免申請を行います。

⑦税金の減免

所得税が減免される、ひとり親控除というものがあります。

これは、扶養している子どもがいる年収500万円以下のひとり親(性別問わず)が所得税や住民税の控除を受けられる制度です。

類似した制度として、寡婦控除、寡夫控除という制度がありましたが、ひとり親控除の導入に伴い、寡婦控除は改正され寡夫控除は廃止されました。

まとめ

離婚後の収入をしっかり確保するためには、弁護士に相談して抜かりなく準備をするのが賢明です。

弁護士に相談するメリット(1) 財産分与・養育費・慰謝料の計算・請求をしてくれる

離婚の際にもめやすい財産分与や、支払いが滞りがちな養育費について、弁護士に適正額を計算してもらえば安心です。

もらうべきお金をもらい損ねないよう、しっかり準備しましょう。

また、離婚事由によっては慰謝料請求をすることができます。

協議で済む場合ももちろんありますが、弁護士なら適正な慰謝料の金額を算定してくれますし、協議が整わず裁判になってしまった時のことも考えて対応してくれるので安心です。

弁護士に相談するメリット(2) 決定事項を書面で残してくれる

財産分与や養育費、慰謝料といった、離婚条件は書面にすることが大切です。

離婚協議書として書面を作成し公正証書にしておくことで、その後のトラブルを最小限に済ませることができます。

重要なのは金額ではなく、確実に支払ってもらうことであると言えます。

的確な金額を適切な方法で請求することが、離婚を上手に納め、自分自身も子供も明るい明日を歩んでいくために重要です。

このようなお金の問題は離婚問題に強い弁護士に相談しながら進めていくことがおススメです。

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