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金銭問題が原因で離婚を考えており、まだ決意していない方によくある悩み4選

金銭問題が原因で「離婚」という2文字が頭に浮かんだものの、実際に「よし、離婚しよう」と決意するまでには、様々な葛藤を抱える人も少なくありません。

金銭問題が原因で離婚するかどうか考え中の方が抱えるお悩みをご紹介し、それぞれのお悩みについてカケコムなりに解説していきます。

お悩み① 今後どんな選択肢があるのか知りたい

金銭問題といっても詳細は様々です。
借金や、ギャンブル、金遣いの荒さ、金銭感覚のズレなどです。
おおよそ、「稼ぎ」「管理」「使い方」「貯蓄」の問題に分けられます。
その中でも離婚を考える原因として一番多いのが借金問題です。
まずは、借金問題を例にとって金銭問題を見ていきましょう。

そもそも、借金を理由に離婚はできるのか?その際に必要な手続きは?
配偶者の借金で離婚を検討している方に向けて、現役弁護士がいくつかの状況の具体例を交えて解説していきます。

◆借金を理由に離婚は可能か

【前提】
借金だけを理由とした離婚は基本的にはできません。

借金が原因で婚姻関係に支障をきたしているであるとか、離婚原因のうちの一つとしてしか認定されません。

◆借金は離婚原因として認められるか

【借金理由と離婚の関係性】

借金にも様々な状況や理由があります。

離婚したいと感じる借金の典型の一つとして、ギャンブルで勝手に多額の借金をつくっていたケースが挙げられます。ですが逆に住宅ローンや学費のための借金など、家族のためにした借金もあるでしょう。

どちらにせよ、借金単体が離婚の原因として認定されるのは相当ハードルが高いです。それよりも借金によってどのように婚姻関係や家庭への悪影響があったのかが争点になります。

例えばその借金によって子供が食べるものに困っていたり、必要最低限の生活にも困るような状況の中で、夫がギャンブルにお金を費やしてしまう、という状況があるのであれば、離婚は認められると思います。

逆に家族のための借金で住宅ローンや学費のための借金が膨らんでしまい、精神的に追い詰められて、仕事が手につかなくなり、結果的に退職し生活が立ちゆかなくなった場合などは判断が分かれるかと存じます。

【借金を原因に離婚するには証拠が必要】

生活への影響の証拠が大事になります。

繰り返しになりますが、借金単体では離婚は認められづらく、その影響で家庭の維持にどのような問題があるのか、という話の方が大事だからです。

どんなものが重要になってくるかの例を以下に挙げます。

①家計簿

家計簿で相手方の収入、返済がどのくらいかの記録はつけてまとめておくと良いです。家計のなかで問題・浪費があるのではないかという反論が想定されますので、どれだけ日常生活に必要な金額を払ったのか、生活がどれほど苦しいのかを客観的に説明でき、離婚を認めてもらいやすくなります。

②領収書関連

光熱費・領収書・入学金書類・貸借証明書・医療費など。これらがあれば支出がどのくらいあったかを確実に証明できます。

◆借金で離婚する場合の具体的な流れ

前提として離婚の方法には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の三つがあります。借金とは関係のない離婚でもこの流れに沿って離婚します。
離婚種類の詳しい内容については、後半お送りする「お悩み③離婚までの道のりや、離婚後の未来を知りたい」で詳しくご説明します。

今回は身勝手な借金の典型例である”ギャンブルでつくった借金”について、段階ごとに説明していきます。

【借金で離婚する際の手順 〜ギャンブルの場合〜】

①協議離婚の場合

まず相手へ離婚の意志を伝えます。

ギャンブルで生活への影響がどれくらいあるかを、相手に伝えるのも大事ですし、まとめておくとのちのちの証拠にもなり、調停へもつれた場合や弁護士へ相談する場合に説明しやすいです。

法律事務所の弁護士相談では、相談時間を30分程度で予約する方が多いです。30分は意外とあっという間に過ぎてしまうので、時間が無駄にならないようにするためにも相談の前には必ず経緯や証拠等をまとめておきましょう。

協議離婚で話し合いがまとまれば離婚届に必要事項をお互いが記入し提出することで離婚が成立します。その場合、可能であれば弁護士に公正証書を作ってもらい、取り決めた内容について守るための法律的な効力を持たせるとより良いと思います。

協議離婚で話し合いがまとまらず離婚が成立せず、それでも離婚したければ離婚調停を申し立てます。

②調停離婚の場合

調停員の方がいるので、ある程度第三者的に納得できる証拠や状況が必要になってきます。「旦那にギャンブル癖があり、借金があるから離婚したいんです!」だけだとかなり厳しいということですね。

先ほどお話しした証拠たちがあれば理解されやすくなると思います。ただ、相手が離婚に反対して平行線になりそうな場合は弁護士を間に入れる方が良いかと思います。調停員が説得しやすい方としてあなたを選んだ場合は、弁護士が入ることで簡単には説得できないぞ、というポーズを取ることができます。

調停で離婚が成立したら調停調書が作成されます。もしこの内容に納得できない場合や、そもそも平行線のまま話が進展せず、離婚を引き続き請求したい場合は訴状を提出し裁判を申し立てます。

③裁判離婚の場合

裁判ではこれまでよりもかなり細かく因果関係や事実関係の確認をすることになります。

ギャンブルの借金がどれだけ夫婦としての生活に影響をあたえていたのか、発端としてどういうことになっていたのか、という話をかなり細かく、そして裁判官という法律の専門家に伝わるように法律に照らして話す必要が出てきます。

たとえば、借金だけでは離婚できないと話してきましたが、裁判離婚する際に必要となる理由=法定離婚事由に「借金」はなく、「婚姻を継続し難い重大な理由」を構成をする一つの要素として考えられています。

つまり、借金を理由にどんな夫婦生活上の問題がおき、それが婚姻を継続し難いと法律で認められる事柄に当たるか法廷で説明するには専門的知識と経験が必要になります。

裁判を申し立てる訴状作成の段階からその専門性の必要度は高いので、裁判に決まるか、その手前の調停段階で弁護士に代理人依頼しておくことをお勧めします。

◆借金は財産分与の対象になるか

対象になります。

ですが「借金を山分けしましょう」というような話ではなく、一定のルールのもとで夫婦全体の財産を計算し、合計がプラスかマイナスかによって分け方は変わります。

ではどのような計算式なのか、相手の借金のどこまでが計算にはいるのか。見ていきましょう。

【そもそも財産分与とは】

財産分与とは「離婚するときに夫婦が婚姻中に共同で築いた財産を分ける」ことをいいます。

夫名義の不動産などでも婚姻後に夫婦で購入した物は全て財産分与の対象となります。また、法律上の財産とは借金などの負の財産も含まれますので、離婚時に財産を分ける「財産分与の計算」には借金も入ることとなります。

【財産分与の計算式】

まずそれぞれの財産の評価額を正確に把握することから始まります。またその評価対象は夫婦が共同で形成した部分のみが対象となります。

夫なら夫名義のプラスの財産と夫名義のマイナスの財産(つまり借金)を全部明らかにします。妻も同様です。例えば不動産評価額・自家用車の売却価格、借金の総額などがあります。

金額が明らかになったあと、それぞれの側で差し引きどのくらい残るのかを簡単に計算していきます。実際の計算はかなり複雑になるので、仕組みを理解していただくことを目的に、ここではかなり単純な例を用いてご説明します。

計算例:

【分配の仕方】

分配方法は計算によってプラスとマイナスになった場合によってそれぞれ異なります。

①差し引きプラスの場合

プラスの部分を分け合う形になります。上記のプラスの例ではざっくりと250万を分け合う形になりますが、実際には乗用車・不動産はすぐに売却せず、これはもらうからこれを向こうに渡す、というような形での分配になります。

②差し引きマイナスになった場合

マイナスの場合は財産分与の請求権が発生しません。マイナスの主たる名義人の方がマイナスの部分の半分を持ってくれ、と主張することもできません。

つまりトータルでマイナスになった場合は、それぞれの名義人がマイナス部分の返済義務を負います。それは借金の性質がギャンブルでも夫婦生活や家族のための借金であっても、離婚が成立すれば変わりません。

【財産分与で借金の支払い請求は全くできないのか】

「たとえ片方の名義の借金であってもその借金で一緒に暮らしてきたわけだから、払ってくれ」という交渉はできないのでしょうか?

相手が承諾しさえすれば借金の返済を離婚後手伝ってもらえることもありますが、法律的には難易度が高いです。

ただし、交渉自体はありうると思います。例えば、借金で夫婦仲が悪くなったとはいえ、相手が結婚中に不倫をし、不倫相手と一緒になりたくて離婚を申し立てられた場合、借金を多少持ってくれるなら離婚してあげる、というような状況です。

ただその場合でも、公序良俗に則って計算されるので、住宅ローンが1000万円残っていて、その半分を持てというのは無理だと思われます。

◆そのほかに離婚時の借金について心配になること

【日常家事債務について】

離婚する際にこの部分で揉めることは稀です。

ちなみに日常家事債務とは夫婦が共同生活を送るうえで発生した債務のことで、これに関しては民法で夫婦ともに返済義務を負うものとしています。日常家事債務になるものとしては、家族で居住していた家の家賃、子どもの養育費、水道光熱費、その他生活で必要な日用品代等があたります。

【結婚生活中に連帯保証人になっていた場合】

これは名義人が払えなくなった場合に支払い義務が発生してきます。その際は払わなくてはなりません。

ですが払わなくてはならない場合と、支払いを拒否できるかもしれない状況があります。

払う必要がある場合は、連帯保証人引き受けに承諾して署名と押印をした場合は離婚した後でも必要が生じれば支払い義務が生じます。またそのこと自体に確実に承認をしていなかったとしても、自分の印鑑を相手がいつでも使える状態にしていた場合なども、事実上容認したとして義務が続くことが多いです。

払う必要がないかもしれない状況としては、相手に印鑑等の使用を承認していないにも関わらず、勝手に保証人にされていた場合です。印鑑の不正使用による文書偽造、つまり私文書偽造にあたるとして後でも争うことは出来るかと思います。

【ペアローン(連帯債務者)の場合】

二人とも債務者として考えられ、基本的には半分ずつ支払うことになります。

その際、たとえ奥様がこれまで専業主婦で基本的には夫が自分の給料から支払ってきたとしても、それで奥様の負債残額だけが多くなるという訳ではありません。

日本の夫婦の収入に対する考え方の基本としては専業主婦だった場合は奥様の支えがあっての夫の収入なので、旦那様名義のお金でしかこれまで返済されていなかったとしても、基本的には半分になることが多いと思います。

【住宅ローンの取り扱いについて】

お子さんがいる場合で、奥さんが親権者になり、家はそのまま住みたいという状況はよくあると思います。
その中で奥様が払っていくから名義をくれ、ということもあります。
(もちろんもともと奥様名義でローンを組まれることもあります。)

この場合、奥様になにかしら財産があって担保できる、働いていて収入が一定程度あるなら認められやすいですが、それまで専業主婦でした、というような状況ですと難しいです。

もちろんその場合、名義も支払いも旦那様が継続して許可してくれるなら住むこともできます。ですが、夫が払ってくれなくなったら家を追い出されてしまうリスクが付きまといます。

故意に払うのをやめることもあるかもしれませんし、仕方のない事情としては会社を解雇されてしまったり、健康上の理由等で働けなくなることもあるかもしれません。その場合は家を差し押さえられることも当然あり、居住を断念せざるを得ないこともあります。

仮に公正証書等で支払いの約束を法的拘束力のある文書にてしていたとしても、それを根拠に強制執行をしたとして、相手にほんとに支払い能力がない場合は裁判所であってもどうしようもありません。住み続けるかどうかはこういったリスクを相談・検討して決定しましょう。

◆弁護士から一言

借金をきっかけに離婚の話になることも少なくないと思いますし、そうでなくても離婚の話し合いの中で借金の話はある程度出てくるものだと思います。

このような問題への対応の仕方は借金の種類によって千差万別ですので、経験と専門的知識を備える弁護士に相談してくださった方が良いと思います。

その際にこれまでの経緯や家計簿などをまとめてから来ていただけると、弁護士としてはすぐに状況がわかり、スムーズに対処方法の選択肢が導けるので非常にありがたいです。

ぜひ離婚について借金・金銭問題で困った際は弁護士にご相談下さい。

お悩み② 金銭問題を解決し夫婦中を改善したい

問題を解決し、離婚の危機にある関係を修復したいという方も、もちろんいます。

金銭問題が原因で、夫婦仲に亀裂が入り、いつ離婚するか分からない…でも、自分としては夫婦仲を修復して、また新しくやり直したいという気持ちがあれば、もしかしたら修復は不可能ではないかもしれません。ここでは、夫婦仲を修復するための方法と、離婚を切り出されたときの対処法についてご紹介します!

◆前提

夫婦のどちらか一方が、普段の生活の中で我慢をすることが多いと、その夫婦は離婚危機にあります。
多少の我慢は必要なことですが、度を越えた我慢を長期間強いられていると、離婚を考えずにはいられなくなります。

相手がギャンブルにはまっていたり借金があり、あなた自身も「離婚」を考えてしまっている中では、実際には離婚より修復のほうが難しいことが多いです。

配偶者が競馬、パチンコなどのギャンブルにはまっていたり、消費者金融などに多額の借金がある場合、それは夫婦仲を修復してあなたにとってほんとに良いことがあるか、よく考えてください。
特に借金の返済は夫婦で行うでしょうから、あなたにとっては離婚することでその借金(配偶者の個人的な借金かつあなたが連帯保証人でなければ)から逃れることが可能です。

それでも、修復を望む場合の方法について解説します。


◆金銭問題で悩む夫婦仲の改善方法

①思い切って問題だと思っている金銭問題について話し合う 

金銭問題が原因で離婚を考えている以上、この問題を解決する、若しくは我慢て結婚生活を続けるしかありません。
思い切って一度本音をぶつけてみるのもいいかもしれません。
一人でもやもや考えているよりも、今のこの現状や今後どうしたいのかを話し合ってみると、案外簡単に問題は解決するかもしれません。
ただし、感情的になってはいけません。あくまで冷静に話し合ってください。

②相手に一方的に不満をぶつけない

夫婦仲を修復するために、自分の気持ちを分かってもらいたいという一心で、相手への不満をぶつければかりでは、なおさら夫婦関係が悪化する恐れがあります。
著名な心理学者アドラーも言及していますが、相手を変えることはできないものです。
自分が変わるという方法が、一番の夫婦仲の修復への近道かもしれません。
ただ、だからこそ相手が抱える金銭問題を解決するのは難しいのです。

③債務整理

債務整理とは債務を減額あるいは免除することで借金問題を解決するための方法です。
債務整理には任意整理、特定調停、自己破産、個人再生の4種類あり、生活の困窮度や債務者の要望に応じて最適な制度を選ぶことが求められます。
ただし、債務整理には債務が軽減される反面ブラックリスト掲載や財産弁済といったデメリットもあります。しっかりと比較検討し判断に迷う時は弁護士に相談しましょう。
そして、その上でもパートナーと一緒にいたいという覚悟が必要です。

④コミュニケーションを増やす 

夫婦の会話を増やす、共通の趣味を見つける、挨拶を忘れないなど、コミュニケーションを増やすことができれば、おのずと一緒にいる時間も増えてきます。
同じ時を同じように過ごすことで、相手の気付かなかった一面に気付けたり、相手の趣味嗜好を再確認することもできます。
金銭問題に関わるような趣味も抑制できるかもしれません。

⑤自分の何が悪いか考える

もちろん、原因が相手の金銭問題であれば、圧倒的に悪いのは相手です。
でもそれでも一緒にいたいと思う以上、自分にも目を向ける必要があります。
離婚の危機にある時、夫婦はお互いに不仲の原因を相手のせいにしがちです。
でも、人間関係は一方的に影響を与えるものではなく、お互いに影響を与え合っているものですから、自分自身に何も問題がないということは珍しいでしょう。
金銭問題を抱える夫婦も同様です。
普段の生活を振り返ってみて、自分の問題点について冷静になって考えてみることも大切です。

⑥大きな決断も必要

居住環境、自分の両親・義父母との距離感、お互いの職場環境、夫の育児への参加、そうした生活環境を変えることが解決の糸口なることもあります。
済んでる場所を変えて見たり、夫が育児のしやすいような勤務形態の仕事に転職するなどの決断も必要でしょう。
夫婦仲を修復するためには、このようなリスクも必要なのです

お悩み③離婚までの道のりや、離婚後の未来を知りたい

先述した通り、離婚の種類は協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つがあります。
状況によって離婚の方法、とるべき手続きが変わってきますので、離婚の流れと方法についてはしっかり把握しておきましょう。

ここでは離婚をする際の大まかな流れをご紹介します。

このように離婚する際は、協議離婚から始まり、合意できなかった場合に次の方法へ進んでいきます。
※審判離婚に関しては、かなり珍しい方法ですので、今回は詳細説明を省きます。

◆協議離婚とは

裁判所を通さずに夫婦間で話し合い、お互いに合意をすれば離婚に至る手続きです。

【協議離婚の流れ】

協議離婚の流れは基本的に夫婦間の話し合い後、離婚届提出して完了となります。

場合によっては協議書、公正証書を作成します。
夫婦間の交渉代理、協議書/公正証書に関する相談・作成を弁護士に依頼することも可能です。

【協議書】

離婚するかどうかに加え、養育費や親権、面会交流頻度、財産分与の内容・割合などを定めた書類です。

当事者同士のみで作成すると書類不備や勘違いが起きたり、片方にとって不利な内容になってしまうこともあり、数年後に再び問題が表面化することもあります。決めるべき問題が語りつくされているか、専門家に相談しながら作成すると良いかもしれません。

【公正証書】

養育費もしくは慰謝料の分割払いがある場合は「公正証書の作成」をおすすめします。

これは、支払いが止まった場合のリスクに備えるためです。公正証書によって、裁判をしなくても支払いの強制執行ができるようになります。公正証書を作成していなかった場合、支払いが滞ると別途調停を裁判所に申し立てなければなりません。(*もちろん養育費の支払者が退職などで本当に払うことができない場合には強制執行しても取ることは難しいです。)

なお公正証書を作成する場合は、協議書は作らずにその内容を公正証書に盛り込むことができます。

【協議離婚にかかる費用】

協議離婚の場合、弁護士に依頼するかどうかでかかる費用は変わってきます。

<弁護士に依頼しない場合>

純粋に夫婦間の話し合いのみとなるので、費用はかかりません。

<弁護士に相談する場合>

①相談費用

相談費用の相場は、30分5000円程度です。
弁護士に当事者間で作成した協議書を見てもらうという方法もあります。

②書類作成費用

書類作成費用の相場は、5~20万円程度です。
費用は書類に盛り込む項目や財産等によって変動します。
また、公正証書の作成を弁護士に依頼する場合は、別途公証役場に払うための金額が5~10万円追加されます。

③交渉を代理してもらう費用

別途着手金、報酬金、その他の費用が発生します。
計算方法を紹介すると長くなるので、合計でおよそ数十万円とお伝えいたします。

◆調停離婚とは

裁判所に調停の申立てをして、調停員の仲介によって離婚をする方法です。

調停委員は男女1名ずつ、一般の方から選ばれることが多く、中立な立場から話をまとめてくれます。
調停では、相手方と直接話す機会がないため、冷静に話し合いを進めていくことが可能です。

しかし、調停の実施ペースは1ヶ月~1ヶ月半に1回、平日の日中のみです。時間も1回につき2~3時間かかってしまいます。
働いている方は休みをとらなければならない場合も多いので、そのため離婚するまでに時間がかかってしまうことが多く、少し大変かもしれないですね。

しかし調停を行うことで、調停調書という裁判所が発行する書面ができあがるので、慰謝料の支払い等の強制執行を可能にする公的証拠能力の強い書面を残せるという利点もあります。
慰謝料や親権、財産分与等でもめていたり、そもそも離婚にお互い合意していない場合、調停離婚が有効な手段となることもあります。

【調停離婚の流れ】

①裁判所に調停申立

まず書面にて、裁判所に調停を申し立てます。

②日取りの決定

1ヶ月〜1ヶ月半後に調停の日取りが決まります。

③調停期日

実際の調停では、順番は申立てた人→申立られた人の順で呼ばれ、1回の調停で交互に何回か呼ばれて話をすることになります。調停中の2人は時間をずらして集まり、待合室も別となっているので、顔をあわせることはありません。

調停では一般的に、なぜ離婚したいのか、離婚の経緯や主張したいことを聞かれます。
事前にしっかり準備して行くことをお勧めします

【調停離婚にかかる時間】

1回目の調停でまとまるものから1年以上かかるものまで、千差万別です。
しかし、親権争い、慰謝料や財産分与の争い、そもそも離婚に片方が同意していない等の場合は調停が長引く傾向があります。

【調停離婚にかかる費用】

申立にかかる費用は4000〜5000円程度、弁護士に代理人依頼する場合は別途30〜40万円程度かかります。

【弁護士に依頼するメリット】

調停離婚自体は弁護士に依頼しなくてもすることはできます。
しかし弁護士に依頼することで、下記で紹介するようなメリットがあります。

①冷静に話せるため、依頼者の言いたいことや伝えたいことを調停員に分かりやすく伝えやすい。

②交渉が弁護士同士であれば、次の調停までにも弁護士間でやり取りを行い、話を進めておくこともできるので、スピーディに事が進みやすい。

③調停委員の中には旦那さんと奥さん、どちらかの意見を変えさせようと一生懸命説得してくる人もいるため、弁護士がつくことでそのような対応を防ぐことができる。

費用はできるだけかけたくないと思うのは当然ですが、その先かかる時間と労力を考えると、弁護士に代理人依頼をするのもひとつの手ではないかと思います。


◆裁判離婚とは

裁判離婚は、協議でも調停でも決着しない場合、最後の手段として裁判所に訴えを起こして判決をもらう離婚方法です。

【裁判離婚の流れ】

【調停】

裁判離婚は、必ずその前に調停を経ることになります。
日本では離婚の裁判には「調停前置主義」というものがあり、いきなり離婚の裁判は起こせません。

【訴状の作成】

弁護士に訴状の作成を依頼します。初回裁判はその約1ヶ月後に行なわれます。

【裁判期日・証人尋問】

裁判に行った時は弁護士がつくことが多いと思います。そして裁判の大部分は弁護士が対応できるため、当事者が行うこととしては実際には書面のやり取りがメインとなります。
ただ、証人尋問の時のみ本人が出廷する必要があります。
調停とは異なり、証拠によって裁判官が客観的に判断を下すものですので、離婚の根拠となる証拠をしっかり用意する必要があります。

【判決】

判決の書面をもらい、役所に届けて離婚成立です。
しかし実際は和解して終わることも多くあります。その場合和解調書を作成します。

判決の場合、書面には法律で決められたことしか書けませんし、それに不満があった場合控訴される可能性もあります。しかし和解調書の場合、より柔軟な対応が可能なため、両者の満足度がより高い結果になることが多いです。

なお、和解する場合は、本人の出頭が必要になりますので、注意が必要です。

【裁判離婚は弁護士への依頼が実質必須】

裁判離婚では、裁判の中で法律的な知識が必要になることはもちろん、尋問は裁判官からの質問によって進んでいくため、自分の主張が通らない場合も考えられます。

実務的には裁判時には弁護士をつけないことは珍しいと思います。なぜなら、裁判官に伝わるように話す必要があり、さらに裁判所特有の言語と呼ぶべき話し方もあるため、法律の専門家でないと自分の主張をすることが難しくなります。ぜひ裁判に行った場合は弁護士をつけることをお勧めします。

【裁判離婚にかかる時間】

前述のとおり、裁判離婚は調停が必須となります。
調停だけでも数ヶ月~数年かかることも多いですから、裁判も含めるとかなり時間がかかってしまうことが多いです。
当事者がお互い合意せず裁判までもつれ込んだ場合は、それなりの時間がかかってしまうことは知っておきましょう。

【裁判離婚にかかる費用】

裁判所に納める費用 2万円程度
弁護士費用 着手金 40~50万円程度
弁護士費用 成功報酬 弁護士によるので要確認

 

着手金に関しては、調停の段階で代理人費用を払っている場合、裁判では調停での代理人費用との差額分だけ支払うケースが多いです。
成功報酬については弁護士によって金額が違ってきますので、弁護士に代理を依頼する際はしっかり確認するようにしましょう。

◆離婚後に必要な手続7種類

最後に離婚後に必要になるであろう手続きを紹介します。
ご自身の状況により様々な手続きがあることも想定しておきましょう。

  • 住民票の移動と世帯主変更
  • 健康保険と年金の手続き
  • 児童手当の請求手続
  • 運転免許証の氏名変更
  • パスポートの氏名変更
  • カード、保険会社など各種サービスの氏名・住所変更
  • 家や車の名義変更

 

お悩み④とにかく辛いので話を聞いてほしい

金銭問題や離婚の悩みは、なかなか相談しずらいものです。
しかし、一人で抱え込んでもなかなか解決するのが難しいのも事実。
慰謝料や親権など、具体的な悩みであれば専門家にアドバイスを求めるが良いでしょう。

話を聞いてもらうなら、
①信頼できる家族・親友・離婚経験者
②離婚カウンセラー
③離婚問題に強い弁護士

誰かに話して不満や不安を和らげたいということであれば、まずは周りで話を聞いてもらえる人を探すということになるでしょう。
ただ、離婚の悩みは非常に複雑で、親権や慰謝料など、離婚における条件や金銭の話になると、やはり専門家のアドバイスが必要になってきます。
条件次第でどうするかや、自分にはどのような選択肢があるのか、信頼のおける第三者のアドバイスを聞くことで頭を整理することができるかも知れません。

実際に離婚するかどうかは別として、一度気になることを適切な第三者にぶつけてみることで前に進むこともあるかもしれません。

最後に

いかがでしたでしょうか。

少しでも解決の手助けになると幸いです。

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