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不当利得返還請求とは?必要となる要件や請求方法・注意点を弁護士が解説

不当利得返還請求とは、法律上の原因がないのに本来受け取るべきでない人が受け取ったお金などの利益等について、その得ている利益を返還してくれという請求のことを指します。不当利得返還請求を行うにはいくつかの要件を満たしている必要がありますし、相手を説得するために有効な証拠を揃えたり、請求権が時効となっていないか確認する必要もあります。この記事では、不当利得返還請求に必要な要件ややり方、注意点等を現役弁護士が解説します。

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不当利得返還請求とは?

法律上の原因(売買契約や贈与契約など)がないのに本来受け取るべきでない人が受け取ったお金などの利益や、当初は契約があって利益を受け取る法律上の原因があったものの後に契約解除となるなどして元に戻さなければならない場合に、その得ている利益を返還してくれという請求が不当利得返還請求と呼ばれるものです。

不当利得返還請求で取り戻せる金額はどのくらい?

不当利得返還請求で請求できるのは、原則として、利益を得ている者に「利益の存する限度」、すなわち利益が残っている(現存利益が存在する)範囲で請求できることとされています。

現存利益についての判断で注意すべきは、例えばギャンブルなどで浪費してしまった場合には利益が残っていないとされ、一方で生活費として使った場合には、自分の財産から支払いをしなくて済んでいるので利得が残っているとされる点です。

しかし、利得を得た人が「悪意の受益者」、すなわち受け取るべきでないことを知って利益を得た人である場合には、現存利益だけでなく、利益全部に加え、利息を加えて請求できることとされています。

不当利得返還請求を行えるのはどんな人?要件とは?

不当利得返還請求は、①他人の財産または労務によって利益を受け、②損失が生じていて、③その利益と損失の間に因果関係があり、④利益に法律上の原因がない場合に請求できます。

具体的なケースでいうと、以下のような例があります。

過払金

消費者金融が、ある時期まで利息制限法の上限を超える利息で貸付を行っていましたが、その利息については、①消費者金融が利益を受けているところ、②お金を借りた人に損失が生じていますし、③その利益と損失との間に因果関係があることは明らかで、④利息制限法の上限を超えているので法律上の原因がないこととなり、過払金として不当利得返還請求ができることになります。

預金の使込み

特に相続に関連して問題となることが多いのですが、被相続人が亡くなる前後で、一部の相続人が預貯金などを勝手に使い込んでいることがあります。

この場合、①その勝手に使い込んだ人は利益を受けていて、②被相続人(他の相続人)に損失が生じていますし、③利益と損失との間に因果関係があることは明らかで、④贈与などを受けておらず勝手に使い込んだということであれば法律上の原因がないこととなり、亡くなる前であれば被相続人本人が、亡くなった後であれば相続人が不当利得返還請求できることになります。

契約解除後の処理

身近なところではインターネット上で買ったり売ったりした場合、お金を払ったのに商品が届かないとか、商品を送ったのにお金を払ってもらえないという事態が生じることがあります。

その場合、相手方が義務を履行していないことになるので契約の解除ができますが、その段階では、お金や商品は相手に渡ったままです。

そのため、①お金や商品を受け取った人が利益を得ていて、②それを渡した人が損失が生じ、③その利益と損失の間に因果関係がありますし、④当初は売買契約が成立していてお金や商品を受け取る法律上の原因がありましたが、契約が解除されたのでその前提がなくなりますので、法律上の原因がないこととなり、相手方に対して不当利得返還請求をしてお金や商品の返還を請求できることになります。

以上のケースのような場合が、不当利得返還請求の要件を満たします。

ただし、不当利得返還請求は、法律関係の後始末的な役割を担っていることから、上記の分類に限られず、幅広く用いられます

不当利得返還請求を行うには?

それでは、実際に不当利得返還請求を行うにはどのような手順を踏むと良いのでしょうか?

証拠となる資料を集める・提出する

不当利得返還請求をしても、相手方が素直に応じてくれるとは限りません

相手方を説得するためにも、また、相手方に応じてもらえない場合に調停や訴訟提起をするためにも、証拠が重要になってきます。

相手方に不当利得返還請求をする前に、できる限りその権利があることを示す証拠を集めておくべきです。

どんな証拠が有効?

まず、お金の動きがあるのであれば、その記録が基本的な証拠となります。

預貯金であれば通帳や取引明細、振込の記録等が有効な証拠となります。

ただ、これだけでは、お金の動きがあったことが分かるだけなので、これに加えて、法律上の原因がないことを示す証拠が必要です。

預金の使い込みの例でいえば、被相続人が贈与という意思表示ができるはずのない健康状態だったことがわかる診療記録や動画、当事者間の関係性に関する周囲の人の証言などが有効となり得ます。

また、お金の動きに関する言動も有力な証拠であり、当事者の発言の録音なども有効な証拠となることがあります。

弁護士へ相談する

有効となる証拠は個別の事案に応じて異なりますし、そもそも不当利得返還請求ができる内容なのかも、法律的観点から個別の検討が必要です。

知人や親族だけで話しても前に進むことも少ないので、まずは、不当利得返還請求ができる可能性があるのか、今ある証拠だけで十分なのか、また、どのような証拠を集めたらいいのかなどについて、弁護士に相談してみましょう。

裁判所で訴えを起こす

どこまで準備ができるか分かりませんが、証拠がそろい、相手方との話合いができそうになければ、最終的には裁判を起こす必要があります。

裁判所には管轄というものがあり、基本的に、不当利得返還請求の内容が140万円以下であれば簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に訴えを提起することになります。

また、基本的に、不当利得返還請求をする側の住所地を管轄する裁判所でも、相手方の住所地を管轄する裁判所でも、いずれにも訴えを提起することができます。

不当利得返還請求を行う際の注意点

それでは、次は不当利得返還請求を行う際の注意点を2つご紹介します。

不当利得返還請求には時効がある

不当利得返還請求は、いつまでもできるものではありません。

2020年4月1日以降に発生した不当利得返還請求権は、権利を行使できることを知ったときから5年間、権利を行使できるときから10年間です。

一方、2020年3月31日以前に発生した不当利得返還請求権は、権利を行使できるときから10年間で、主観で変わる5年間の消滅時効期間は適用されません

現物返還ができない場合は価格賠償になる

不当利得返還請求権は、不当に得た利益を返してもらう権利なので、対象が物であれば、その物を返してもらうのが原則です。

しかし、利益を受け取った人がその物をすでに処分してしまっていることも考えられ、その場合に利益がないというのも不公平ですので、その利益をお金に換算して請求することになります。

ただ、例えば不動産を相場よりも高値で売却してしまっていたとしても、その高額の売却金額そのものの返還を請求することはできず、相場程度の価額賠償にとどまることとされています。

不当利得返還請求について分からないことがあれば弁護士に相談

不当利得返還請求は、法律上の原因がないことを必要としていて、法律的な判断が必要なことが多い請求権です。

また、有効な証拠も事案によって異なり、どのような証拠が必要なのかの判断が必要ですし、どのような法律構成をして請求するのか、検討を要することが少なくありません。

場合によっては、不当利得返還請求の他、不法行為に基づく損害賠償請求ができることもあり、時効期間などを踏まえてどのように構成して請求するのかが重要になるケースもあります。

自分が不利益を被っている反面、相手方が利益を得ている場合には、それが不当であれば不当利得返還請求ができる可能性があります。

請求できる可能性があるのかどうかを含め、不当利得返還請求について分からないことがあれば、まずは弁護士にご相談ください

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