過払い金請求のからくり・仕組みとは~関連する法律や弁護士に依頼するメリットは?~
【この記事の法律監修】
三輪 貴幸弁護士(埼玉弁護士会)
樟葉法律事務所
「過払い金返還請求」とは、借金の返済をしたときに、利息を法律の規定より多く支払っていたら(過払いをしていたら)、請求によって過払いした分のお金を取り戻す仕組みです。
なお本稿の「借金」には、消費者金融などの貸金業者からお金を借りることだけでなく、クレジットカードで買い物をすることやローンを組むことも含みます。
借金を返済した人や返済中の方は、この記事を読むことで、過払い金返還請求のからくりや仕組み、関連する法律について知ることができます。さらに、過払い金を取り戻すためにしなければならないことも紹介します。ここには、あきらめていたお金を手に入れる方法が書かれてあるのです。
また、過払い金返還請求をするときは弁護士を頼ったほうがよいのですが、その理由も解説していきます。
過払い金とは
「過払い」の元々の意味は「払い過ぎ」なのですが、「過払い金」といった場合は借金の利息を払い過ぎたケースのことを指します。
なお本稿では、お金を借りる人や債務者のことを借主、お金を貸す側や債権者のことを貸主と呼びます。
法律の定めより利息を払い過ぎると過払い(金)になる
過払い金で払い過ぎているのは利息です。
借主が貸主から借金をすると、将来のいつかの時点で借りたお金の額(以下、元金)に利息を加えて弁済(以下、返済)しなければなりません。例えば100万円を借りるときに利息を年利15%とすれば、借主が1年後に返済する額は115万円(=100万円×115%)になります。
年利15%は法律が定める利息の範囲内なので、借主が100万円を借りて1年後に115万円支払う場合は過払い(金)ではありません。したがって過払い金が発生するのは、法律で定める利息より多く払ったときです。
過払い金の発生の仕組み・からくり
過払い金が発生する仕組み・からくりと、関連する法律について解説していきます。
仕組み1.利息制限法で年利15~20%と定められている
過払い金の問題で最も重要な法律は利息制限法です。同法は第一条で借金(金銭を目的とする消費貸借)の利息の上限を定めています。
利息制限法 第一条
金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。
一 元本の額が十万円未満の場合 年二割
二 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分
三 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分
引用:e-Gov 法令検索 利息制限法(昭和二十九年法律第百号)
この第一条を要約すると「借金の利息が条文の利息を超えるときは、その超えた部分を無効にする」となります。元本とは元金(借りたお金の額)のことです。
つまりこの条文に記載されている利息を超えてはいけないので、この利息が上限であることがわかります。そして上限の利息は以下のとおりです。
■利息の上限
- 元金が10万円未満:年利20%
- 元金が10万円以上、100万円未満:年利18%
- 元金が100万円以上:年利15%
借金の額が小さいほど利息が大きく、借金の額が大きくなるほど利息が小さくなることがわかります。貸主が借主にお金を貸すときの利息がこれを超えると、法律違反になります。
仕組み2.上限と無効があるので過払い金が返還される
過払い金の仕組みは、利息制限法第一条の「借金の利息が条文の利息を超えるときは、その超えた部分を無効にする」が源になっています。
■過払い金の仕組み
- 利息が上限を超える→過払い金が発生
- 超過分は無効→返還が発生
つまり、利息の上限が設定されているので、超過部分である過払い金が発生します。そして超過部分は無効になるので、貸主は超過部分(過払い金)を借主に返還しなければなりません。
仕組み3.無効は契約よりも強い
過払い金の仕組みを別の角度から説明してみます。以下のケースを考えてみます。
■ケース
- 借主が貸主から、100万円を利息・年利20%の契約で借りた
- 借主は契約とおり、1年後に120万円(=100万円×120%)を貸主に返済した
利息制限法は、100万円の借金の利息を年利15%と定めているので、このケースの年利20%は同法に違反します。しかし借主と貸主が契約しているのであれば、契約を守るべきだ、という理屈も成立しそうです。
ところが借金の利息については、その理屈は成立しません。
なぜなら利息制限法で、上限を超える利息が無効になると定められているからです。一般的には契約で定めたルールは法律の規定より優先されます。しかし、利息制限法は社会生活上の公序良俗を守るという観点から定められた法律であり、例外的に契約よりも優先されます。そのため、利息制限法上無効とされている規定の効力はは契約より強いので、借主と貸主が同意のうえで「100万円を利息・年利20%で貸す」と契約していても無効になります。
利息制限法がこのように強い効力を持つのは、これが上記のように、公序良俗を守るために定められた強行法規だからです。強行法規の内容は、契約の内容に関わらず強制的に適用されます。つまり強行法規である利息制限法の内容は、契約によって変更することができないのです。
仕組み4.過払い金の額
過払い金の額はいくらになるのでしょうか。つまり、借主の手元にいくら戻ってくるのでしょうか。先ほどと同じケースを使って説明します。
■ケース(再掲)
- 借主が貸主から、100万円を利息・年利20%の契約で借りた
- 借主は契約とおり、1年後に120万円(=100万円×120%)を貸主に返済した
借金において、利息制限法が定める上限を超える利息が設定された場合、上限の利息が採用されます。利息制限法は、100万円の借金の利息の上限を年利15%に定めているので、これが採用されるのです。
したがってこのようになります。
■過払い金の額の決め方
- 違法な契約(ここでは100万円を年利20%で借りる内容)が、「超える部分について」無効となる
- 上限の年利15%が採用される
- 元金100万円、年利15%の借金の1年後の本来の返済額は115万円(=100万円×115%)
- したがって支払い済みの120万円から、本来の返済額115万円を差し引いた5万円が過払い金になる
このケースでは、借主はすでに120万円を返済しているので、本来の返済額(115万円)より超過した分の5万円を過払い金として返還請求できるわけです。
からくり1.改正前の出資法がグレーゾーンを生んだ
借金の利息の規定は、先ほど紹介した利息制限法で決められているわけですが、ほかの法律にも利息が規定されています。それは出資法です。
なお出資法は正確には、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、といいます。
改正前の出資法が規定していた上限利息は29.2%で、利息制限法の上限利息(15~20%)よりかなり高いものでした。
貸金業者も利息制限法の上限利息(15~20%)を守らなければならないのですが、その一方で以前は、一定の要件を満たせば出資法の上限利息29.2%を適用しても有効でした。この「29.2%と15~20%の間」の利息のことをグレーゾーン金利といい、いわゆる法律の抜け穴になっていたのです。
そこで国は2010年に出資法の上限利息を、利息制限法の上限利息に合わせグレーゾーン金利をなくしました。このグレーゾーン金利も過払い金のからくりになっています。
からくり2.2010年6月18日に注意
グレーゾーン金利がなくなった日(改正後の出資法が施行された日)の2010年6月18日は、過払い金返還請求にとってとても重要な日付なので覚えておいてください。
なぜなら2010年6月17日まではグレーゾーン金利が存在していたわけなので、違法に高い利息でお金が貸し出されていた可能性が高いからです。つまり、2010年6月17日以前に借金をしていたら、過払い金返還請求でお金が戻ってくる可能性が高い、ともいえるわけです。
ただし、2024年11月現在で、2010年6月17日以前にした借金の返済を継続しているケースは稀ですから、過払い金が請求できる場合というのも限られています。
からくり3.返還請求は返済後も返済中も、亡くなった人の分も可能
過払い金返還請求は、返済が終わっている場合でも可能です。多く支払った分を、返還請求によって取り戻すことができます。
また、現在返済中の借金でも、過払い金を取り戻すことができます。返済中の借金の場合、元金の返済が残っているわけですが、過払い金の分だけ元金が減ります。
さらにいえば、亡くなった人が過払いしていた場合も、遺族が取り戻すことができます。亡くなった人の過払い金は故人の財産になり、相続人(家族など)がその財産を相続できるからです。
過払い金はどうすれば取り戻せるのか~返還請求の流れ
過払い(金)は無効な状態なのですが、何もせずに借主の手元に過払い金が戻ってくるわけではありません。借主が、貸金業者、消費者金融、信販会社、クレジットカード会社などの貸主に返還を請求し、その請求内容が正しく貸主が同意したら過払い金が返還されます。
返還請求の流れは以下のとおりです。
1.弁護士に依頼する
2.貸主から取引履歴を取り寄せる
3.過払い金返還請求書を貸主に送る
4.貸主と和解交渉を行う
5-1.和解して返還完了
5-2.和解不成立、訴訟へ
5-3.【解説】和解と訴訟のメリット・デメリット
6-1.訴訟で勝って返還完了
6-2.【解説】訴訟に負けることがあるのか
7.【解説】時効について
なお過払い金の返還請求は個人(借主本人)でも可能ですが、一般的に弁護士を通じて行うことが多いので、ここでも弁護士を利用する場合で説明しています。
また流れの紹介の途中で【解説】を加えています。
1.弁護士に依頼する
借主が弁護士に過払い金返還請求の依頼をすると、弁護士は貸主に受任通知を送付します。受任通知は、弁護士が借主から、過払い金返還請求の手続きを受任したことを知らせるものです。さらに、これ以降は弁護士が交渉することも通知しています。受任通知により過払い金返還請求が始まります。
なお、借主が借金を返済中の場合は、受任通知を送ることで取り立てや督促、返済が中断されます。これも借主が弁護士を雇うメリットになるでしょう。
2.貸主から取引履歴を取り寄せる
受任通知を送るとき、同時に貸主に対して取引履歴の開示を求めます。取引履歴を入手することによって、いついくら借りて、いついくら返済しているのかがわかります。
取引履歴があれば過払い金の有無と、過払い金があった場合のその額がわかります。
3.引き直し計算をして過払い金返還請求書を貸主に送る
取引履歴と利息制限法で規定された上限利息の値から過払い金の額を算出します。これを引き直し計算といいます。
過払い金の額は証拠を残すため書面にして、過払い金返還請求書として貸主に送付します。同請求書には次の内容を記載します。
■過払い金返還請求書に記載する内容
- 取引内容(いついくら借りて、いついくら返済しているのか)
- 引き直し計算の内容
- 過払い金の額(引き直し計算から算出された額)
- 過払い金の振り込み期日
- 振り込み先の口座情報
- 過払い金の返還がない場合、訴訟する意思があることの通知
ここでのポイントは、訴訟する意思があることの通知です。悪意ある貸金業者の場合、正しい引き直し計算や正確な過払い金の額を提示しただけでは、返還に応じないことがあります。したがって「こちらには弁護士がついていて、返還請求に応じなければ訴訟を起こすこともある」と示すことで早期解決につながることがあります。
4.貸主と和解交渉を行う
貸主に特段の悪意がない場合でも、過払い金返還請求書を送付しただけで、すんなり期日までに入金されることはまれでしょう。貸主にも言い分がありますし、過払い金の存在を認めたとしても、返還する額を少なくしたいという気持ちが働きます。そのため貸主は、借主側(この場合は弁護士)に交渉を求めるはずです。
これを和解交渉といいます。
5-1.和解して返還完了
和解交渉の結果、借主、貸主双方が納得できれば和解となり、過払い金として確定した額が借主の口座に振り込まれます。これで過払い金返還請求は完了します。
和解が不成立になると訴訟になります。
5-2.和解不成立、訴訟へ
過払い金返還請求訴訟は、元金が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円超の場合は地方裁判所に起こします。
裁判では引き直し計算や過払い金の額の是非が争われます。例えば、同じ借主が同じ貸主から複数回借金をしている場合、複数の取引が別物なのか一連のものなのかが争われます。それにより引き直し計算の前提が変わり、過払い金の額にも違いが出ます。
さらに、もし貸主が取引履歴の一部を消失して、そのすべてを開示できない場合、推定計算が行われます。推定計算では、消失した取引履歴を、あったものとして推定して過払い金の額を算出します。
また、貸主に悪意があったかどうかも争点になるでしょう。悪意とは、利息制限法の上限利息を超える利息を受け取ってはいけないことを知っていることです。貸主に悪意があれば、つまり、違法であると知っていたら、過払い金に利息をつけて返還することになります。この根拠は民法に記されています。
■貸主の悪意が認定された場合、過払い金に利息をつけて返還する、というルールの根拠法
民法 第七百四条
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
引用:e-Gov 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
民法 第四百四条
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
引用:e-Gov 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
5-3.【解説】和解と訴訟のメリット・デメリット
借主は和解交渉に入ったとき、貸主が提示する和解案に同意すべきか、それとも訴訟すべきかで迷うことがあります。
貸主は、過払い金の存在を認めたとしても、「借主の弁護士が算定した過払い金の額は正しくなく、正確にはもっと少ない額である」と主張するかもしれません。そして貸主は、少ない額なら和解する(返還する)と提案するわけです。
しかし、不当に少ない額であれば、その額で和解してしまっては借主は損をしてしまいます。訴訟をすれば正しい額の過払い金を全額取り戻せるうえに、その過払い金に利息が上乗せされて返還される可能性があります。
ところが訴訟には時間がかかります。訴訟の場合は1、2年かかり、和解なら半年で決着がつくかもしれません。したがって借主は、弁護士と相談したうえで、メリットとデメリットを比較して和解か訴訟かを決めることになるでしょう。
6-1.訴訟で勝って返還完了
過払い金返還請求訴訟は一般的に、裁判所で月1回のペースで口頭弁論が行われ、これを4、5回行なって結審、判決が下されます。口頭弁論では証拠を提出したり、意見陳述したりします。
訴訟に勝つと過払い金が返還されます。これで完了します。
なお裁判中に裁判所から和解が提案されることがあり、原告(借主)、被告(貸主)が同意すれば判決を待たずに結審します。
6-2.【解説】訴訟に負けることがあるのか
過払い金返還請求訴訟で原告(借主側)が負けることはほぼありません。なぜなら、弁護士が取引履歴から過払い金の存在を確認していますし、和解交渉のなかで貸主は、過払い金の存在を認めたうえで返還額の減額を求めてくるからです。そのため裁判では、過払い金の額について争いになっても、過払い金の存在については争われないことが多く、ほぼ負けない、といえるわけです。
ただし、過払い金返還請求訴訟において、裁判所が確定させた過払い金の額が、和解交渉のなかで貸主が提示した額より低くなる可能性はあります。この場合は、訴訟を起こさす和解したほうがよかった、という結論に至るでしょう。
そのため借主は、過払い金の問題がみつかったら、相談の段階から過払い金返還請求訴訟に強い弁護士を探したほうがよいのです。
7.【解説】時効について
過払い金の時効は10年です。どこから10年かというと、最終取引日からです。
例えば、借主が2024年10月30日に借金を完済して、その後貸主と取引がなければ、2034年10月30日に時効が成立してしまい、過払い金を請求できなくなってしまいます。
過払い金返還請求をするメリットとデメリット
過払い金返還請求を行うメリットとデメリットには次のものがあります。
1.メリット
1-1.過払い金が戻ってくる
1-2.返済中の場合、経済的な負担が減る
1-3.完済後の場合はブラックリストには載らない
2.デメリット
2-1.払い過ぎた利息がすべて戻ってくるとは限らない
2-2.返済中の場合はブラックリストに載るリスクがある
2-3.同じ貸主から借金できなくなる可能性がある
1つずつ確認していきます。
メリット1-1.過払い金が戻ってくる
最大のメリットは過払い金が戻ってくることです。「あきらめていたお金」や「戻ってこなくても仕方がないと思っていたお金」を手に入れられるので、家計にプラスになります。
また弁護士には、過払い金になるかどうかわからないが、過去に借金をしていたことがある、という状態でも相談することができます。その状態でも弁護士は調査でき、それが過払い金を発見するきっかけになるかもしれません。その場合は「思ってもいなかったお金」を手に入れることができるわけです。
さらに、過払い金は不正義なので、それを取り戻すことは正義になります。正義を貫けるメリットは大きいといえるでしょう。
メリット1-2.返済中の場合、経済的な負担が減る
返済中の借金についても、過払い金返還請求を行うことができます。その結果、過払い金がみつかれば返済額が減るので(正常に戻るので)、経済的な負担が減ります。
メリット1-3.完済後の場合はブラックリストには載らない
借金の返済において返済遅延や滞納などのトラブルが発生すると、信用情報機関に事故情報として記録され、その後の新たな借り入れが難しくなります。この事故情報が記録されることを俗に「ブラックリストに載る」と表現します。事故情報が記録されると、クレジットカードの利用や銀行の融資などが制限されることが一般的です。
金融庁は「過払い金は貸金業者が自主的に返還すべきものであるから、信用情報機関に載せる情報ではない」との見解を述べています。つまりブラックリストに載せる必要はない、といっているわけです。
そのため現在は、完済後であれば、過払い金返還請求を行なってもブラックリストに載る心配はないとされています。
デメリット2-1.払い過ぎた利息がすべて戻ってくるとは限らない
過払い金返還請求を行なっても、払い過ぎた利息が全額返ってくる保証はありません。貸主と和解するときは、貸主側の主張を一部受け入れなければならなくなり、それは過払い金の認定額の減額を意味するでしょう。
また訴訟を起こしても、裁判所が原告(借主側)の主張をすべて認めるわけではありません。
デメリット2-2.返済中の場合はブラックリストに載るリスクは残る
返済中の借金について過払い金返還請求を行なった場合、ブラックリストに載る可能性があります。過払い金が戻ったあとも借金が残る場合は「債務整理をした」という記録がブラックリストに記載されることがあるからです。
デメリット2-3.同じ貸主から借金できなくなる可能性がある
借主がある貸主に対して過払い金返還請求を行うと、その貸主から新たな借り入れができなくなることがあります。また、その貸主のグループ会社のローンやクレジットカードなどが利用できなくなる事態も想定されます。
弁護士に相談・依頼するメリットは多い
過払い金返還請求は借主本人が自分だけで行うこともできますが、それでも弁護士に相談・依頼することをおすすめするのは、デメリットが1つしかないのに、メリットがたくさんあるからです。
唯一のデメリットは弁護士費用が発生することですが、成功報酬にすれば借主が自身のお金を減らすことはありません。
そしてメリットには以下のものがあります。
■過払い金返還請求を弁護士に相談・依頼するメリット
- 過払い金があるかどうか、からわかる
- 取り戻せる金額が多くなる可能性がある
- 交渉や手続きをすべて任せることができる
- 周囲に知られずに解決できる
- 和解が有利に進む可能性がある
- 訴訟への移行がスムーズになる
どれも重要なので1つずつ確認していきます。
過払い金があるかどうか、からわかる
弁護士は「過払い金がある」と確信している人から相談を受けるだけでなく、「借金をしたことはあるが過払い金があるかどうかわからない」という人の相談にものります。相談を受けた弁護士は調査に着手して過払い金の有無を確認できるのです。
取り戻せる金額が多くなる可能性がある
弁護士は取引履歴の取り寄せと引き直し計算を確実に実行できるので、過払い金額の算定が正確になります。
このことは、取り戻せる金額を少しでも多くすることに寄与します。
交渉や手続きをすべて任せることができる
借主が個人で貸主と交渉したり、過払い金返還請求の手続きをしたりすることは、かなりハードルが高いでしょう。
例えば貸主は、過払い金返還請求をしてきた借主に弁護士がついていないことを知れば「交渉が楽になりそうだ」と安堵するかもしれません。弁護士を依頼していないと、取引履歴の入手も、引き直し計算も、過払い金返還請求書の送付も、借主本人がすることになります。
弁護士に依頼すれば、借主は交渉も手続きも任せることができます。
周囲に知られずに解決できる
借主が個人で過払い金返還請求を行う場合、交渉や手続きに忙殺されることになり、周囲は「何かやっている」と気がつくことになりかねません。
過払い金返還請求を秘密裏に行いたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。依頼主(借主)は弁護士から報告を受けるだけ済むので、「何かやっている」ことを家族や会社の人たちに隠すことができます。
和解が有利に進む可能性がある
借主が弁護士を雇うと、貸主との和解交渉が有利に進みやすいのは、貸主に「弁護士には嘘をつけない」または「嘘をついても見破られてしまう」といった心理が働くからです。実際、弁護士は悪意のある貸主の手口を知っているので、貸主が和解交渉の場で虚偽の報告をすれば弁護士はそれを見抜くでしょう。
また、借主が弁護士をつけずに和解交渉に臨んでしまうと、悪意のある貸主なら、借主にとって不利な条件で和解に応じないと裁判にかけて徹底的に応戦する、といった「脅し」を仕掛けてくるかもしれません。弁護士なら脅しに屈しない方法を知っています。
訴訟への移行がスムーズになる
和解交渉が決裂した場合、過払い金返還請求訴訟に移行するわけですが、裁判になると手続きはさらに複雑になります。
もちろん、訴訟に移行する段階で弁護士を依頼することもできますが、その場合、弁護士はこれまでの和解交渉の経緯を知らず一から情報を把握することになります。これでは依頼主(借主)と弁護士の協力体制は強固とはいえません。
過払い金返還請求をすると決めた時点で弁護士に相談するほうが得策といえます。
まとめ~過払い金返還請求をするなら弁護士に相談を
過払い金返還請求の手続きは複雑で難解ですらあります。そのため借主が独力で過払い金返還請求を行なってしまうと手間がかかったり、間違ったりしてしまう可能性があります。
しかし弁護士に依頼すれば、すべての交渉事、すべての手続きを一任できるわけです。
弁護士に依頼すると費用がかかりますが、取り戻せる金額が高くなる可能性があるため結果的に手元に残る金額が多くなると確率が高まるでしょう。
過払い金は「あなたのお金」です。それを取り戻すことになんの躊躇も要りません。弁護士が取り戻す作業を代行します。
ただし、繰り返しになりますが、2024年11月現在で、2010年6月17日以前にした借金の返済を継続しているケースは稀ですから、過払い金が請求できる場合というのも限られています。そもそも現在では取引履歴を遡れることが難しく(10年遡れても2014年で、2010年6月17日以前には到底届きません。)、過払い金の主張・立証は極めて困難です。