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「真面目な人」を救う刑事弁護人として170名以上の弁護を務め2件の無罪も獲得/鐘ケ江啓司弁護士(薬院法律事務所)

数多くの刑事弁護を手掛ける中で、「真面目な人、普通の人」を救いたいという気持ちが強くなり、現在は私選弁護のみ引き受けているという鐘ケ江先生。一般に流通しない本も含め、年間300万円以上を書籍に投資。6年以上にわたりデータベース化し、刑事弁護をはじめ民事や企業法務にも活用されているそうです。

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弁護士を目指した理由とこれまでについて

これまでの経歴について教えてください。

福岡県出身で、久留米附設高等学校、九州大学法学部、九州大学法科大学院を卒業しました。2010年に弁護士になり、福岡市内の春山法律事務所に約2年勤務し、2012年12月に薬院法律事務所を開設して現在にいたります。

弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。

実は元々、「公共のために役立つ仕事をしたい」という想いから、国連職員や官僚を目指していたんです。
子どもの頃、新聞やテレビで貧困、人種差別、犯罪など様々な問題を目にするうちに、「なぜこんなひどいことになってしまうんだろう」と心を痛めました。
そして自分なりに、「社会や制度の仕組みを変えないと問題はなくならない」と考えたんです。
じゃあ「仕組みを作る側の仕事ってなんだろう」と考えたときに、国連職員や官僚がしっくりきたんです。
ただいきなり国連職員になるのは少し遠く感じたので、まずは官僚になろうと思い九州大学法学部に進みました。
ところが大学3年生のときに、官僚を諦めざるを得ない状況になってしまいました。

なにがあったのでしょうか?

少し話は戻りますが、高校2年生のときに落葉状天疱瘡(らくようじょうてんぽうそう)という病気にかかったんです。日本国内に患者数が数千人しかいない難病です。
わかりやすくいうと全身の皮膚に水疱ができてただれる病気で、私は顔と胸の上のあたりが特にひどかったです。
そして大学3年生のとき、官僚の方が大学に来て講演をされました。
私は、講演後に個別にお話を聞きに行ったところ、「あなたの場合は、面接まではいけても、落とされる。病気が理由とはいわれないけど」とはっきり言われたんですね。
それまで官僚になるために努力してきたので、とてもショックでした。
ただ、「それはそうだろうな」と納得しましたし、はっきりおっしゃっていただいたことで、早い段階で目標を変えられたことがありがたかったです。
 

官僚になることを諦めたあとは、どうされたのでしょうか?

病気も抱えていますし、裕福な家庭でもありませんでしたから、夢が絶たれたからといって落ち込んでいる余裕はありません。奨学金の返済もしなければなりません。
とにかく今できることを考え、次に向かおうと思いました。
とはいえ闘病中でしたし、普通に就職するのも難しい状況でしたから、司法試験に合格することにしました。ペーパーテストは差別しませんので。
司法試験に受かることはマイナスではないだろうし、たとえどこからも採用されなくても、自分の力で生きていけるだろうと思ったからですね。
そして九州大学法科大学院に進学し、卒業後に受けた司法試験に一発で合格できました。

合格した時点では、弁護士になろうと決めていたのでしょうか?

実はその時点では、裁判官になりたいと思っていました。
ただ司法試験合格後の修習期間中に、ある裁判官から「あなたは裁判官に向いていないと思う」と言われたんです。それで断念しました。
検察官になるという選択肢もありましたが、私は関心がなかったので、結局弁護士という道を選ぶことになりました。
弁護士になるといっても、奨学金で600万円の債務を抱えていましたし、即時独立というのは現実的ではなかったです。
そこで多数の事務所に応募したのですが、やはり難病を抱えている人を採用しようという事務所はありませんでした。
ですが、最終的には、私の指導担当弁護士を引き受けていただいていた春山九州男先生が「僕は君を投げ出すようなまねはしない」といって雇ってくれました。この時のことは、今でも思い出すと涙がでてきます。
後日、日本弁護士連合会の機関誌である「自由と正義」に「ひと筆 私が古い法律書を買い集める理由」というタイトルで詳しく書きましたので、興味を持たれた方は読んでもらえると嬉しいです。私のホームページに掲載しています。

その後独立して現在の事務所を開設されたのは、どういった想いだったのでしょうか?

春山先生は、私を「独立できるようになるまで鍛える」ということで、在籍時の2年間は本当にみっちりと鍛えられました。
私の仕事の基本はこの2年間で作られています。
そして春山先生から、「そろそろ独立して良いだろう」といわれたので、独立することにしました。
 

独立するにあたり、どんな事務所にしたいと考えていましたか?

どんな事務所もなにもなかったです。
当時は弁護士3年目の若手で、仕事も片手で数えられるほどしかない状態でした。
ですから、とにかく事務所の経費と生活費をかせぐために国選弁護を受け、知り合いの弁護士に頼んで仕事を紹介してもらったりしていました。
 

現在の業務について

現在、注力している分野を教えてください。

特に刑事弁護に注力しています。
これまで170名以上の弁護人を務め、2件の無罪判決も獲得しました。
もちろん刑事弁護だけしているわけではなく、企業法務や交通事故にも力を入れています。
どれも緻密なリサーチが必要な分野です。
 

ほとんど仕事がない状態で独立されてから10年以上経たれたわけですが、事務所を成長させられた要因はどういったところでしょうか?

一つの軸として「悪いことはしない」ということはありましたが、なにか明確な経営戦略があったわけではないです。
手探りで、その都度ベストだと思える選択を繰り返してきた結果です。
振り返ってみると、色んな人に会って、色んな意見や話を聞いて、向上心を持って色んなことにチャレンジしたことは良かったと思います。
そうすることで仕事をいただくことが増え、いただいた仕事に全力で取り組むことで信頼を得て、そこからまたご縁がつながっていきました。
 

弁護士として、どういったことを大切にされていますか?

私が助けたい人を助ける、そして助けると決めた人は全力で助けるということを大切にしています。
私は人一倍好き嫌いが激しくて、自分がやりたいと思ったことしかやりたくないんですね。
私が助けたいと思わない人からの依頼は、たとえ1億円積まれても引き受けません。
 

先生にとって「助けたい人」はどういう人でしょうか?

刑事弁護でいうと、これまで本当に色んな人の弁護をしてきました。
その経験を通じて私が心から「助けたい」と思うのは、「真面目な人、普通の人」です。
一方、暴力団関係者、元暴力団関係者含む、半グレ、トクリュウ、その他反社会的勢力からの依頼は受けないことにしています。
また私の知識・経験を悪用されないよう、現在は国選弁護はしておりません。
 

犯罪を犯す方の中にも、真面目な人、普通の人がいるということでしょうか?

そうです。たとえば独立当初から力を入れている盗撮事件が1つの典型です。
被疑者・被告人本人に会ってみると、大人しくてすごく真面目で、誰からも好かれるような人が多いんですよ。
町中で普通にすれ違ったり、自分の友人・知人にもいそうな本当に普通の人です。むしろ「良い人」といって良いです。
そういう人が、何らかのきっかけで罪を犯してしまった時に、その支えになりたいと思っています。
私は、犯した罪だけを見て弁護するのではなく、その人の人生という物語の中でその罪を捉え、罪を犯してしまった理由や背景にまでさかのぼって弁護します。
ご家族も大変つらい思いをされますので、ご家族の気持ちや状況にも配慮し、皆さんが良い形で再スタートを切れるようにお手伝いしています。
 

先生の強みや事務所の特徴を教えてください

月に数十冊の法律雑誌を定期購読し、年間300万円以上の書籍を購入し、警察官向け・検察官向けの文献なども大量に収集しています。
それを6年前くらいからスキャンし続けて、自分だけのデータベースにしていることは1つの強みです。
警視庁や、福岡県警が発行している書籍など、一般販売されていない文献もフリマアプリなどで地道に収集し、警察官・検察官がどのように考え、どう捜査を進めるのか研究しています。
これは、依頼者にとって最善の弁護活動をするには、警察官・検察官の考え方を知る必要性が高いという理由です。
警察の「報道発表」に関する文献も収集し続けており、実名報道を回避するための弁護活動も実践しています。
もちろん刑事弁護だけでなく、民事や企業法務でもこのデータベースをフル活用してスピーディーに仕事をしています。
他の弁護士と共同で仕事をするときも、私がスピーディーに文献を調べてくるので大変喜ばれますね。
 

元々、「公共のために役立つ仕事がしたい」という想いがあったということですが、その想いは変わりませんか?

はい、根本は変わりません。ただ子どもの頃は社会のことも知りませんでしたし、漠然としたイメージしかありませんでした。
その後、様々な経験をしたことで純化され、よりクリアになったと感じています。
結局私は、「泣きたいのに泣けない人たち、泣くことを許されない人たちを救いたい」のだと思います。
私が盗撮事件に注力するようになったのも、ご家族があまりにも可哀想だと思ったことが大きいです。
盗撮事件で、夫が逮捕された方の奥様が、大学ノートに、子どものことや、報道のこと、弁護士費用のこと、被害者への謝罪のことなど、色々な今後の心配事を書いていて、複数の弁護士事務所に問い合わせた時のことをぴっしりとメモしていて、私の前では気丈に振る舞っているのを見たときには涙が出てきました。
私は、そういう人たちのために、私の経験、知識、限りある命を使っていきたいと思って日々仕事に取り組んでいます。
 

依頼者とのコミュニケーションでは、どういったことを心がけていますか?

大事なのは、弁護士として、そして人間として依頼者に信頼されることです。
そのために、まずクイックレスポンスを心がけています。
またご依頼いただいている案件に動きがなくても、月1回程度はなにかしら連絡をするように心がけています。
お話するときも、決して横柄な態度や偉そうな態度は取らず、敬意を持って対等な関係でいられるようにしています。
弁護士はもちろん専門的な職業ですが、偉いわけではありません。
親戚の頼れるおじさんやお兄さんみたいな存在でありたいですね。
 

今後の目標など

今後の目標などを教えてください。

今は福岡を中心にご依頼いただいていますが、全国から依頼を受けられる体制を作っていきたいと思っています。実際、遠隔地からご依頼いただく案件も年々増えています。
また、春山九州男先生が私を育ててくれたように、私も後進を育てたいという想いもあります。

相談を考えている方へ一言お願いします。

思い悩むより、とりあえず電話してみましょう、ということをお伝えしたいです。
相談したからといって、必ず依頼する必要はありません。
当事務所では、電話でもメールでも相談予約を受け付けていますので、少しでも悩んだり、不安があればお気軽にご相談ください。

弁護士情報

弁護士名:鐘ケ江 啓司 
所属弁護士会:福岡県弁護士会
事務所名:薬院法律事務所
事務所HP:https://yakuin-lawoffice.com/
事務所住所:福岡県福岡市中央区薬院1-5-11 薬院ヒルズビル4階4-A

経歴:
2002年 3月 久留米附設高等学校卒業
2006年 3月 九州大学法学部卒業
2009年 3月 九州大学法科大学院卒業
2010年 12月 弁護士登録、春山法律事務所入所
2012年 12月 薬院法律事務所開設

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