国際派弁護士への道のり / 樋口一磨弁護士 (弁護士法人樋口国際法律事務所)
大学院時代の海外留学をきっかけに国際的に活躍できる弁護士を目指した樋口一磨弁護士。弁護士になってからもその思いを貫き国際的に活躍する弁護士として精力的に世界中を駆け回る。そんな樋口一磨弁護士にお話を伺いました。
弁護士を志したきっかけ
私は、様々な思いを抱くにつれて弁護士を志すようになりました。そもそもアカデミックな世界自体に興味があり様々な学問に触れてみたところ、法律の理論的な思考回路が面白いと感じ、最初は法律を純粋に学問として学ぼうと思っていました。しかし、法律を学ぶ上では実務的な発想も必要だと感じるようになり司法試験に挑むことにしました。
司法試験は、大学を卒業した翌年に一度目を受けましたが、択一試験で落ちてしまいました。そこで、アカデミックな道も選択肢として持っておきたいと考え、一橋大学大学院の言語社会研究科に進学することにしました。幸い、その在学中一年目に司法試験には合格しました。司法試験の勉強をするうちに、実務に惹かれるようになり、自然に弁護士を志すようになりました。
受験時代から、国際的なものにも興味があり、海外に出たいという強い気持ちを持っていました。大学院に在学中にケンブリッジに短期間の留学をしたり、伊藤真の司法試験塾のイベントで他国の司法制度の視察旅行に参加したりして、その思いはますます強くなりました。
こうした経験を通じて、法律の実務家として国際的に活躍できる弁護士という道を選びました。
これまでのキャリア
弁護士になってからは、最初はご縁がありました大原法律事務所に入所しました。そこでは、初日から日々、弁護士の独立性と責任の重さを経験しました。事務所案件は最初からほぼ全面的に任され、先輩弁護士からの丁寧な指導を受けた記憶はなく、自己責任を痛感させられました。
しかし、当時はまだ若造の私が一生懸命業務に励むと、クライアントの方々も徐々に信頼してくださるようになっていきました。そうした経験は今振り返ってみると、とても貴重に感じます。
その事務所で2年半ほど勤務した後、30歳までに留学したいという思いがあったので、27歳で留学することを決意しました。準備に1年かけて、29歳になる年の6月から留学が始まりました。選んだミシガン大学は、留学生は比較的少なく現地の学生と同じ授業を受けるため毎日必死でしたが、お蔭で英語力が各段に向上しました。二年目はシカゴのMasuda Funaiという日系クライアントを主たる顧客とする事務所で勤務することができ、貴重な経験を得ました。
留学から帰ってきてからは、文字通り視野が広がって見える世界が変わり、国際的な仕事に興味を持つようになりました。そして、中小企業やベンチャーに対してリーズナブルな価格で国際案件を提供する法律事務所が少ないことに気付き、独立を決意しました。
独立してから、目の前の案件にこつこつ丁寧に向き合っているうちに、自然と仕事は増えました。有難いことです。弁護士会や日弁連の国際活動にも積極的に顔を出すようになり、同業の横のつながりも深まりました。
今の強み・注力している分野
今は、独立前から、個人で国際的な法曹団体の会議に継続して出ています。これは時間とお金がかかります。例えばInternational Bar Association(IBA)の年次大会では、1週間で100万円くらいの費用がかかります。でも、各国の弁護士が集まって情報交換できる貴重な機会であり、こうして培われた人間関係が私の資産ですので、投資と考えて参加を続けています。私のように個人レベルで参加している日本の弁護士は極めて限られています。
こうした活動も寄与して、海外の弁護士からの紹介であるインバウンドと日本企業が海外に進出する際のサポートであるアウトバウンドの両方の仕事ができるようになりました。
クライアント層は、日本の伝統的な中小企業やベンチャー企業が多いですが、上場企業にもご依頼をいただいております。取り扱い業務分野は特に限定しておりません。ベンチャー企業ではIT関連が多いです。エリアはアメリカ、ヨーロッパ、アジアと幅広くカバーしています。
心がけているのは、なるべくクライアントの話を聞くことです。弁護士には話をすることが得意な人が多いですが、私はむしろ聞く方に徹しています。
顧問としては、法律論に限らず、経営方針にまで踏み込んだアドバイスをすることもあります。経営戦略や経営者の意思、ビジネスの理解を深めるところから話をしていきます。時には耳が痛いであろうことも申し上げますが、それも顧問弁護士としての役割だと思っています。
今後注力していきたい部分・売り出したいサービス
今やっていることが間違っていないと確信しているので、これからもアウトバウンド、インバウンド、双方の案件を増やしていきたいです。ニーズに応えていく中で、自然とサービスの幅も広がっていくと思います。
相談者の方へ一言
弁護士との付き合い方は、お医者さんの健康診断と一緒で、事後対応よりも予防のために相談するのがよいと思います。病気になってからではなく、モヤモヤしたときに相談できる弁護士を探すことが大事です。遠慮せずに気軽に相談できる人を見つけてください。「かかりつけ弁護士」を持つと、長い目で見たときに、皆さんのビジネスや人生にとって大きなプラスになると信じています。
弁護士情報
弁護士名: 樋口一磨
所属弁護士会: 東京弁護士会
事務所名:弁護士法人樋口国際法律事務所
事務所URL: https://www.higuchi-law.jp/
事務所住所:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町1-2-1 カルフール神田ビル7階
【経歴】
1976年 千葉県柏市生まれ
1995年 慶応義塾大学志木高等学校卒
1999年 慶応義塾大学法学部法律学科卒
2002年 一橋大学大学院言語社会研究科修了 在学中 司法試験 合格
英ケンブリッジ大学Summer School for English Legal Methods
ヨーロッパ、中国、韓国、オーストラリア司法制度視察参加
2003年 司法修習終了(千葉・56期) 弁護士登録 大原法律事務所勤務
2007年 University of Michigan Law School, LLM 修了
2008年 [Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, LTD](シカゴ)勤務 在任中にニューヨーク州司法試験合格・弁護士登録 大原法律事務所復帰
2011年 樋口一磨国際法律事務所設立
2014年 弁護士法人樋口国際法律事務所へ組織改編
2019年 株式会社朝日ネットの監査役に就任
2021年 独立社外役員のためのガバナンス・トレーニング・プログラム「MIDコース」課程修了(日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク主催、東京証券取引所及び日本取引所グループ後援)
2022年 公認不正検査士登録
2022年 株式会社朝日ネット取締役(監査等委員)に就任
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