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契約社員の解雇の実情とは?解雇された場合の対処法について現役弁護士が徹底解説

契約社員の解雇は、正社員よりハードルが高いことをご存じですか?もしあなたが契約社員で、正当な理由なく解雇されたなら、それは不当解雇かも…?本記事では、契約社員の解雇理由で多いものや、どういった場合不当解雇になるのか、さらにはその対処法まで解説します。「契約社員だけど、解雇されてしまった…」「この解雇って不当じゃないの?」と悩んでいる方は、参考にしてみてください。

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岡本 順一(おかもと じゅんいち)弁護士

Seven Rich法律事務所

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契約社員の解雇に関する実情

「契約社員の解雇」と聞いたとき、みなさんはどのようなイメージをするでしょうか?「正社員より立場が不安定で、解雇されやすいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし契約社員の契約期間途中での解雇は、実は法的には正社員の解雇よりもハードルが高いこと、知っていましたか?これは、労働契約法17条1項に根拠があります。

労働契約法17条
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

しかし、残念ながら全ての会社が適正な解雇手続きを行っているわけではありません。不適切な理由で、正しい手順を踏まずに契約社員を解雇してしまうような会社が実在するのも事実です。

そこで今回カケコムでは、現在世の中の契約社員の解雇に関する実態はどうなっているのか、契約社員として解雇された経験のある方95名を対象にアンケート調査を行いました。本記事では、この調査結果をもとに、契約社員で最も多い解雇理由や解雇されてしまった場合の詳しい対処法について徹底解説していきます。

契約社員で解雇されてしまい悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。

 

契約社員の解雇で多い理由TOP4

契約社員の解雇の実態について、まずはどのような理由で解雇が告げられるケースが多いのか、探っていきましょう。契約社員として解雇を経験された方95名を対象に、アンケートにて解雇の理由を伺った結果がこちらです。

契約社員の解雇で最も多い理由TOP4

1位 経営状況の変化による解雇

今回、契約社員の解雇理由として最も多くあげられたのは、会社の経営状況の変化でした。具体的には会社の経営不振の他、自分が担当していた仕事自体がなくなってしまったり、プロジェクトが中止になってしまったための人員削減による解雇もあったようです。また、昨今話題のコロナ不況の影響による解雇も多くあげられました。

 

実際の声

プロジェクトが急に中止になり、人員削減のために解雇された。
(30代男性)

コロナウイルス感染症の影響により経営が厳しくなり、解雇されてしまいました。
(20代女性)

2位 労働者の業務態度による解雇

次に多かったのは、労働者の業務態度による解雇です。ここでは無断欠勤をしたり、副業をしたりといったことから、解雇に繋がってしまったケースがみられました。しかし中には、会社に意見した結果解雇された、上司との関係がうまくいかずかいこされたといった声も寄せられました。

実際の声

副業としてアルバイトを行なっていたため。
(20代男性)

自分の給料を上げてほしいと交渉した結果、会社に契約期間より早く契約を打ち切られ実質解雇されてしまいました。
(40代男性)

3位 労働者やその家族の心身に関する事情による解雇

契約社員の解雇理由として3つ目に多かったのは、労働者やその家族の心身に関する事情による解雇です。労働者自身の病気や怪我の他に、妊娠や育児のための遅刻・早退・欠勤が解雇理由としてあげられました。

実際の声

病気になり、それまでの夜勤を含む交代勤務ができなくなった。
(40代男性)

小さな子供がいて子供が頻繁に病気になってしまい何度か休んでしまいました。そのせいで解雇されました。
(40代女性)

4位 労働者の能力不足による解雇

最後は、労働者の能力不足を理由とした解雇です。具体的な理由としては、仕事でのミスや営業の成績不振が多くあげられる一方、会社の都合による人員入れ替えのために解雇されたという声もありました。

実際の声

営業成績を上げられずに解雇されました。
(20代女性)

デパートで契約社員として働いていましたが、自社グループの派遣会社の派遣社員と契約社員を入れ替えると言われて解雇されました。
(40代男性)

契約社員の解雇と雇止めについて

ここまで契約社員の解雇の実態について見てきました。ところで契約社員といえば、解雇とは別に「雇止め」というものがありますが、その違いはご存じですか?契約期間の途中で会社を辞めてもらう「解雇」に対して「雇止め」とは、契約期間の終了時に契約の更新を止めて、雇用関係を終了することをいいます。

「そんなのどっちでもいいよ」と言う方もいるかもしれませんが、「解雇」か「雇止め」かによって法的に適正か判断する条件も変わってきます。自分がどちらの状況にいるかで、考えるべきことや対処法が変わることもありますので、この違いはしっかり覚えておきましょう。

契約社員の解雇、みんな納得している?

契約社員の解雇理由として、どのようなものが多いかは分かりましたね。では、解雇されてしまった方たちは、果たしてその理由に納得しているのでしょうか?カケコムでは次に、その解雇が適正であったと思うか、アンケートにて調査を行いました。その結果がこちらです。

契約社員の解雇は適切だったか

契約社員の解雇は適切だったか(解雇理由別)

まず解雇が適正なものだと思われるかどうか、全体の数字を見てみると、解雇が適正なものであると納得している方は22.1%に留まっていることが分かります。そして、その解雇が適正ではないと思っているか、適正であるか判断ができないと答えている方は7割以上にのぼり、解雇された本人は納得いっていない可能性が考えられます。

次にその解雇は適正だったか、解雇理由別にまとめたグラフを見てみますと、「労働者の能力不足」による解雇について、適正でなかったと思うと答えた方が6割近くにのぼっており、労働者側の不満が強いことが分かります。また、「経営状況の変化」による解雇は、半数の方が「適正だったかわからない」と答えており、経営が悪いから仕方ないと思う一方、それが適正な解雇なのかどうかについては判断つきかねている方が多いようです。

では実際、どういった解雇理由が適正で、どういったものが適正ではないのでしょうか?ここからは、契約社員が解雇された場合、その解雇が適正なのかどうか判断するために考えるべきことを解説していきます。

契約社員が解雇されてしまったら考えるべき2つのこと

契約社員が解雇されてしまった場合、その解雇が法的に適正なものかどうか判断するためには、次に紹介する2つのことを考える必要があります。

契約社員が解雇されたら考えること(1) 正当な理由があったか?

解雇されるにあたって、通常は上司などから解雇の理由が言い渡されるはずです。その理由は果たして、正当なものでしたか?

正当でない解雇理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 契約期間中に妊娠した
  • 上司や職場の人間から「業務とは関係のない理由で」嫌われた
  • 契約期間に誘われた職場の飲み会やイベント(任意参加)を断った

このような場合、不当な解雇である可能性が高いため、会社に直接交渉する、弁護士に相談するなどの対応を取ることをおすすめします。詳細は後述の「契約社員の解雇が適正でないと思われる場合の対処法」をご覧ください。

Point

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契約社員が解雇されたら考えること(2) 解雇前に段階を踏んだ措置があったか?

次に考えるべきことは、解雇前に段階を踏んだ措置があったかどうかです。通常解雇をするためには、一定の手順を踏む必要があります。具体的には、「解雇に至るまでにとられた改善、教育措置の内容は適切か」と、「解雇予告をしたか、もしくは解雇予告手当を支払ったか」がチェックポイントになります。詳しくは下記にて解説します。

1. 解雇に至るまでにとられた改善、教育措置の内容は適切か

まず、解雇に至るまでにとられた改善、教育措置の内容は適切かについてですが、ここでは会社側が社員の失敗を防ぐ手立てを講じていたかどうかをチェックします。

例えば、採用後すぐに業務を一度失敗したとしても、失敗は誰にでもあることです。そのため、会社側に一切社員の失敗を防ぐための措置を取った形跡がなければ、のちに裁判沙汰になったとき、その会社には不利な状況になる可能性が高いです。

2. 解雇予告をしたか、もしくは解雇予告手当を支払ったか

会社側が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。30日前の予告をしない場合は、会社側は30日に不足する日数分の平均賃金を支払う必要があります。

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契約社員の解雇が認められるケース

契約社員の解雇が法的に適正かどうかの判断基準について、正当な理由がない場合や、解雇前に段階を踏んだ措置が取られていない場合、法的に適正な解雇ではない可能性が高いことはわかりましたね。しかし、会社側にやむを得ない正当な理由がある場合は、契約社員の契約期間途中での解雇も認められます。例えば、以下のような場合は会社側の正当な理由が認められる可能性があります。

  • 契約期間中に無断欠勤を繰り返し、会社の業務を放棄のうえ、他の社員の負担を著しく増やした
  • 契約期間中に重大な不注意により大きな失敗を繰り返し、上司の裁量で仕事の内容を簡単なものにしたにも関わらず、重大な不注意により失敗は繰り返され、業績が大きく悪化した
  • 重大な不注意により大きな契約を破断にし、業績を大きく悪化させた
  • 重大な経歴詐取が判明した
  • 契約期間中に犯罪に加担した 

しかし、実際に自分の解雇理由が正当な理由かどうかは、自分で判断するのが難しい場合も多くあるかと思います。判断に迷ったり、悩んだりした場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。法律の知識と経験豊富な弁護士なら、あなたの状況に合ったアドバイスをしてくれ、あなたの心強い味方となってくれます。

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契約社員の解雇が適正でないと思われる場合の対処法

ここまでで、契約社員の解雇が適正かどうかの判断基準はご理解いただけたでしょうか。次に、契約社員の解雇が適切でないと思われる場合、どのように対処すればいいのか解説していきたいと思います。まずは、実際に解雇が適正ではない、または適正かどうか分からないと答えた方たちは、どういった対応をしていたのかみていきましょう。

契約社員として解雇されたあとの対応は?

アンケートの結果、8割近い方が特に何もせず解雇を受け入れたと回答しました。そして2割程の方は会社に対して復職や賃金等、何らかの交渉を会社としている結果になりました。

しかし、自分をクビにした会社と直接交渉するのは勇気のいることですし、交渉が必ずうまくいくとは限りませんよね。実際、上記の対応をあとから振り返った際に、そのような行動をしてよかったかどうか伺ったところ、下記のような結果となりました。

契約社員として解雇された際に行った対応について

まず「契約期間の賃金や慰謝料、解決金を支払うよう会社に直接交渉した」方の結果をみると、半分以上が対応をしてよかったと答えています。しかし、4割の方は行動したことを「後悔した」と答えており、交渉が必ずしもうまくいくわけではないことがわかります。

契約期間の賃金や慰謝料、解決金を支払うよう会社に直接交渉した方の声

会社に直接交渉しても結局梨の礫で、何も状況は変わらず時間だけがたっていき、自分の生活もあるので泣く泣く交渉を打ち切ることになってしまいました。
(40代男性)

最初にやったことは派遣先の企業に対して異議申し立てを行い、派遣元の企業に対しては、派遣切りを行おうとしていることを知らせた。そこで自分と派遣元の担当者、派遣先の担当者と三者で交渉して、派遣期間中の契約解除に対して慰謝料を受け取ることができた。
(30代男性)

さらに、「復職できるよう会社に直接交渉した」場合に至っては、「よかった」と答えた方がいないという結果になりました。会社を解雇になったということは、それが適正かどうかはさておき、何かしらの理由があるのです。そのため、解雇自体を取り消すよう会社と交渉するのは、かなり難易度が高いといえるでしょう。

もちろんすぐ受け止めることはできず、何度も何度も話しました。契約社員である以上は仕方ないと言われて、もう諦めました。どうせ経営が悪いなら、いつまでもこの会社にすがるのではなく、別で就職活動をしようと思いました。ですが、もっと他に手段があったのかと思うと、少し後悔しています。
(20代女性)

給料を下げてもいいからと交渉するも継続不可となりました。
(30代男性)

不当に解雇されたら労働問題に強い弁護士に相談を

もし解雇理由が適正ではないと感じたら、まずは労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。最近は、初回無料相談を行っている弁護士事務所が多くあります。こういった制度を利用し、ぜひ気軽にお悩みをご相談いただければと思います。早期に弁護士にご相談いただくことで、そもそも不当な解雇なのかどうかや、その後どのように対応すべきなのかをアドバイスしてもらえます。

実際に弁護士に相談した方の声

自治体が主催している弁護士への無料法律相談で、解雇されたことを相談したところ、解雇通知から30日分の給与相当額を受け取れるはずだとアドバイスを受けたため、その旨を人事部に連絡した。すると翌日には人事部から電話があり、30日分の給与相当額を支払うと連絡を受けた。会社に残りたいとは思わなかったため、これで良いと思った。
(40代男性)

「契約社員」という言葉のイメージから、契約社員の解雇は割と簡単にできるものと誤解している会社は少なくありません。しかし、あなたと会社は労働契約を結び、あなたは賃金を頼りに生活しているのですから、そのような生活の柱を「不当な理由」で突然奪うような権利は会社にはありません。不当解雇で企業を相手取るには、労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。 

Point

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不当解雇についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください

まとめ

契約社員は労働期間の限定があるからこそ、簡単に解雇はできないものです。

もしもあなたが不当に解雇されようとしていたり、不当な雇い止めをされようとしているのなら、労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。生活の基盤となる労働問題について、法的な観点から的確なアドバイスをしてくれるはずです。

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