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会社をクビになる3つの理由は?クビにしていい理由と違法となる理由を解説

会社をクビになる理由には何があるのでしょうか?実は、会社がクビにできる場合は法律で限定されています。とはいえ、自分のクビが正当なものかどうかは簡単にはわかりづらいものですので、今回は会社がクビにしていい理由とクビにしてはいけない理由をそれぞれご紹介します。

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昨今、新型コロナウイルスの影響により会社の倒産件数が増えており、それに伴い解雇も発生しています。

もし解雇にあった場合、どうすれば良いのでしょうか?クビになった理由をそのまま受け入れるしかないのでしょうか?

今回カケコムでは、会社をクビになる理由は、法律的にどんな理由が正当な解雇理由として認められているのか、どんな理由で解雇された場合に法的な手段を取ることができるのかを解説します。

会社をクビになる理由とは?

会社をクビになるには、それなりの理由が必要です。では、実際にどんな理由で会社をクビになることが多いのか見ていきましょう。

会社をクビになる理由(1) 遅刻・欠勤・早退が多かった

仕事はきちんとしていたとしても、遅刻や欠勤、早退があまりに多いと、クビになる可能性があります。

1度や2度の遅刻・欠席・早退ですぐにクビになるということはありませんが、注意されても改善されないという場合、クビになる可能性が高まります。

会社をクビになる理由(2) 能力不足というレッテルを貼られてしまった

給料をもらうからには、それ相応の仕事をするのは当然ですが、仕事をこなす能力が低いということも、会社をクビになる理由となる場合があります。

慣れていない頃は仕方ないですが、いつまでたっても仕事をこなすことができないとなると、能力不足というレッテルを貼られてしまい、人員整理などを行うときに、真っ先に解雇の対象となってしまいます。 

会社をクビになる理由(3) 素行が悪く会社に悪影響を与えていた

会社には、それぞれ就業規則があり、その就業規則に違反すると、クビになる可能性があります。
 
就業規則違反のみでなく、会社の秘密漏洩、お金等の横領など、会社に悪影響を与えたというような場合でもクビになる可能性がかなり高まります
 
また、会社をクビになった例として、痴漢など会社の外での犯罪が疑われ、逮捕・起訴された場合もあります。

でもそんなに簡単にクビにできないって知ってますか?

不況が続いている現代、自分も会社をクビになるかもしれないと心配している人も少なくないと思います。

会社をクビになる理由はいろいろとありますが、実は会社は社員を簡単にクビにできないのです。

会社ができる解雇には、「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」の3つの場合がありますので、それぞれの場合ごとに会社が従業員をクビにできない理由を解説します。

普通解雇の場合

解雇の種類の1つとして、普通解雇があります。

普通解雇とは、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がある理由をもって労働者を解雇することを言います。

これは労働契約法16条に規定されています。

(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

普通解雇の場合は、下記のような状況があれば会社は労働者を適法でクビにすることができません。

会社が従業員をクビにできない理由(1) 客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がない

前述したように、普通解雇とは客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がある理由をもって労働者を解雇することを指します。

客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要であると認められる可能性があるのは、例えば、下記のような場合です。

  • 経営不振になり、人員削減をしなければ会社が立ち行かなくなってしまった
  • 長期にわたり労働者の著しい能力不足や協調性不足等があった

つまり、はっきりとした理由もなく、客観的に合理的ではなかったり、社会通念上の相当性がない解雇理由である場合は、それは違法となり、何らかの法的手段が取れる可能性があります。

会社が従業員をクビにできない理由(2) 30日前に解雇通告をしていない

会社が従業員をクビにする場合、原則的には突然解雇することはできません。会社は30日前に解雇通告をする義務があります

ただし、30日前に解雇通告をしていなくても、下記のいずれかの条件を満たせば適法となります。

  • 解雇通告してないが、30日分以上の平均賃金を支払った
  • 解雇通告期間として不足している期間分の給与を日割り計算し、支払った

2つ目に挙げた「解雇通告期間として不足している期間分の給与を日割り計算し、支払った」ケースとは、例えば10日前に解雇予告した場合、20日分以上の平均賃金を支払う義務があるというものです。

これは、労働基準法第二十条に定められています。

(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
○2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

懲戒解雇の場合

懲戒解雇とは、会社側からのペナルティとして受ける解雇のことを指します。

会社内の秩序が大きく乱れ、かつ何度注意しても改善しない場合などに、会社から最後の切り札として使われることがあります。

懲戒解雇の理由として考えられるのは、会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合です。

会社が従業員をクビにできない理由(3) 言い渡された解雇理由が就業規則の中に記載されていない

懲戒解雇であっても、言い渡された解雇理由が就業規則の中に記載されていない場合、会社は従業員をクビにできない場合があります。

そのため、懲戒解雇にあった場合は就業規則の解雇理由に該当するものがあるのか確認しましょう

また、普通解雇と同様、解雇理由に客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があること、原則30日前に解雇通告をすることも必要となります。

ただし、所轄労働基準監督署の除外認定を得た場合は例外的に解雇予告通知なしに解雇を行うことができます。

整理解雇の場合

整理解雇とは、労働者に原因はないものの、会社の業績悪化などにより人員を削減しなければならない場合の解雇のことを言います。

整理解雇を行う場合には、普通解雇よりもさらに厳しい条件を満たす必要があります。

会社が従業員をクビにできない理由(4) 整理解雇の要件を満たしていない

整理解雇の場合、以下の4つの要件が満たされている必要があります。

  • 会社を存続させるために人員整理をするしか方法がない
  • 解雇を回避するための努力をしている
  • 解雇される対象者の選定基準が合理的
  • 妥当な解雇手続きが行なわれている

そのため、以上の要件が満たされていないのに解雇された場合は、労基署や弁護士に相談するようにしましょう。

その他・共通事項

会社が従業員をクビにできない理由(5) 適切な解雇手続きを踏んでいない

解雇する場合、解雇を通告する前に適正な手続きを踏んでいることも重要となります。

従業員本人に原因がある場合は、解雇の前段階で適切な懲戒手続きを履践している必要があります。

適切な解雇手続きを踏んでいない場合は解雇が認められないこともあるため、納得のいかない解雇があった場合はしっかり適切な解雇手続きが踏まれていたのかを確認しましょう。

コロナ解雇は正当な解雇理由になるのか?

昨今、コロナウイルスの流行により会社が立ち行かなくなり、解雇するケースが増えています。

コロナウイルスに関連する解雇の場合、すべて適法となり、従業員は必ず解雇を受け入れなくてはならないのでしょうか?

答えは、コロナウイルスの影響があり、非常事態だからと言って、「特別に解雇が違法にならない」と判断されることはありません

実際に東日本大震災時でも、厚生労働省(厚労省)によると下記の通り、震災を理由に無条件に解雇や雇い止めをすることは認められていませんでした。

【Q3-1】今回の震災を理由に雇用する労働者を解雇・雇止めすることはやむを得ない対応として認められるのでしょうか。
[A3-1]震災を理由とすれば無条件に解雇や雇止めが認められるものでは、ありません。

出典:厚生労働省「震災に伴う解雇について

また、業務上の疾病や負傷で休業している労働者は、休業期間中及び復職後30日間は解雇できない等、労働者の状況によっては法律上解雇が制限されている場合もあります(労働基準法19条による)。

(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
○2 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

もちろん、「めったにクビにならないから安心」というわけではない

能力不足や努力不足も会社をクビになる可能性があります。
 
いくら法律が厳しいとはいえ、怠けていいわけではありません。

著しく業務成績が悪かったり改善を全くしない場合はクビになる可能性がある

注意されても改善がまったく見られないとその後クビになってしまう可能性もあります。

  • 成績が著しく悪い
  • 改善の機会を与えても全く効果がない、改善の見込みがない
  • 労働者の能力不足が原因で業務に支障が出ている

上記のように、能力不足の程度が著しい場合は、会社をクビになる理由として認められる場合があります。

ただし、クビが正当か不当かの自己判断はとても難しい

能力不足などが原因で会社をクビになることがあると言いましたが、会社をクビになった理由が正当なものであるか、不当なものであるかということの判断には専門的知識が必要であり、自分自身で判断することはかなり困難です。
 
解雇理由に対して、少しでも不当解雇の疑いがあれば、労基署や弁護士に相談することを心がけましょう。

会社にクビの理由を言われても納得がいかない場合の対処法

解雇を言い渡され、その解雇理由に納得がいかない、または同意ができないという場合は、まずはしっかりと自分の考えを会社に伝えましょう。

不当解雇を疑ったら解雇を拒否する意思を示す

会社からクビになった理由を教えてもらっても、その理由に納得がいかず不当であると感じた場合は、その意思を示しましょう。

一度解雇を受け入れてしまうと後に裁判等で争う際に不利になってしまう可能性があります。

まずは、退職する意思はないということを会社に伝えてから、労基署や弁護士に相談するのがよいでしょう。

労働組合や労働基準監督署に相談する

会社をクビになる理由が納得できない、やめるつもりはない、とはっきり伝えても、話し合いが平行線だという場合は、労働組合や労基署(労働基準監督署)に相談することを考えましょう。

会社に労働組合がある場合は労働組合に相談し、労働組合がない場合は直接労働基準監督署に相談しましょう。

上記の機関は労働者を助けるために作られている、労働者の強い味方です。

解雇無効を申し立てる

解雇が違法なものであると認められた場合、解雇無効を申し立てることができる可能性があります。

解雇無効を申し立てる場合は、会社と直接交渉したり、裁判所で争ったりすることになります。

その際、弁護士に依頼しておくと適切なサポートを受けられ、素人が分からない法律分野についてもしっかりと説明してくれる上、場合によっては代理で交渉してくれる可能性もあります

より確実に解雇無効を獲得するためにも、申し立ての際は弁護士に頼るのが良いでしょう。

解決金を請求する

解雇が違法なものであると認められた場合、解決金を請求することが可能なこともあります。

これは、解雇が違法なものであるため何らかの手段を取りたいけれど、解雇無効を申し立て、無効となったとしても職場復帰をしても気まずいため、無効の申し立てはしたくない場合等に取ると良い手段です。

この解決金の請求に関しても会社との交渉や裁判所で行うことができるため、弁護士へ依頼すると良いでしょう。

解決金を請求できるのか、請求できるとしたらどのくらいの金額なのかについては、会社の支払い能力を見て考える必要がありますので、そのような難しい点も弁護士にサポートしてもらうのがおすすめです。

一人では難しいと感じたら労働問題に強い弁護士に相談することがベスト!

会社をクビになる理由はいろいろあるといっても、クビの理由が妥当かどうか個人で判断することはとても難しいものです。

また、一人で会社と交渉するとかなりの時間と労力がかかりますし、会社は社会的にも経済的にも強い立場に立っていることがほとんどです。

会社をクビになった理由に対して納得がいかない場合には、弁護士に相談することが有効だと考えられます。

なかでも労働問題に強い弁護士だとより心強いですね。

カケコムには様々な労働問題を解決した実績を持つ弁護士が登録していますし、弁護士によっては初回の相談を無料で受け付けていることもあります。

費用面でもお悩みの方でもご相談いただきやすいことがありますので、一度お気軽にご相談ください。

会社をクビになる3つの理由とは?クビにしていい理由といけない理由のまとめ

今回はクビをテーマに紹介してきますたが、いかがでしたか?

会社をクビになる理由はいろいろあるということが分かって頂けたと思いますが、その理由が正当なものであるかは別問題です。

会社側が労働者を簡単にクビにすることはできません。

自分自身の勤務態度があまりにも悪いのであれば仕方ないですが、会社をクビになった理由に納得いかないという場合は、労基署や弁護士への相談をすぐに検討しましょう

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