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婚外子の戸籍はどうなるの?大切な子どもの戸籍の話を弁護士が解説

法律上の婚姻関係のない間柄に生まれた子供を婚外子(法律上の正式名称は非嫡出子)といいますが、この婚外子の戸籍はどのようになっているのかご存知でしょうか。現代において、婚外子の割合は少なくありません。婚外子についての基礎知識から起こりがちなトラブルまでご紹介します。

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婚外子の戸籍の問題についての知識、ありますか?

婚外子についての知識はどれくらいありますか?

婚外子というと不倫によって産まれた子供というイメージが先行する人もいるため「社会的な差別」として、周囲から偏見の目が向けられてしまうことも時にはあるようです。

今回はこのようにデリケートな婚外子の、特に”戸籍”にスポットを当てて解説していきます。

そもそも婚外子とは…?

今回の記事で扱う婚外子の戸籍問題ですが、そもそも婚外子についての知識はありますか?深く理解している方は少ないと思いますので、まずは婚外子について詳しく説明いたします。

結婚(法律婚)をしていない男女の間に生まれた子供

婚外子とは、法律上の婚姻関係を結んでいない男女の間に産まれた子どもを指します。 

婚外子を出産するケースは主に三つあります。 

  • 子供の父親となる人に結婚を拒否されて出産したケース
  • 父親となる人には既に妻がおり不倫の関係で妊娠をしたが相手が離婚しなかったケース
  • 夫婦関係ではあるものの婚姻届を提出しない事実婚のケース

です。

事実婚の夫婦の間に生まれた子供も”婚外子”に

事実婚を希望する夫婦は年々少しずつ増加傾向にあります。 

理由としては名字を同じにしなくても済むことや、事実婚でも婚姻届を出した時と同じように生命保険をかけたり住宅ローンを組んだりできるため、大きなデメリットはあまりないことが挙げられます。

しかし、事実婚を希望する人に知っておいていただきたいことが、事実上の夫婦関係であっても法律上の婚姻関係がなければ子どもは婚外子となることです。

ですから事実婚の夫と子供が法的な親子関係を築くためにはあくまで認知をすることが必要なので注意をしましょう。

婚外子となった場合の名字と戸籍はどうなる?

婚外子について理解を深めたところで気になるのが子どもの戸籍と名字ですよね。夫婦どちらの戸籍と名字になるのでしょうか?

戸籍は自動的に母親の下に入ることになる

出生届を提出した際に母親を筆頭者とする新しい戸籍が作成されて、子どもは母親の戸籍に入ります。

通常の結婚のように婚姻届を出した夫婦の子どもの場合は、その子どもの親権は夫婦二人にあります。

ですが事実婚の場合は親権者はどちらか一方になります。

出生届を提出しただけの状態であれば、自動的に母親が単独で親権者となります。

この場合、父親の欄は不在となる

子供が婚外子となった場合、父親の欄は空白となります。

しかし、戸籍上に父親の名前を入れる方法があります。

その方法とは、別途「認知届」を行えば戸籍の父親の欄に名前が記載されます

ただ、認知届はあくでも戸籍に父親の名前を入れたり、法律上の親子関係を認めるための届出のため、親権者と名字は母親のままです。

母親と同じ名字になる

事実婚で子どもを出産した場合、母親の戸籍に入り名字も母親と同じとなります。

出産によって母親と子どもの親子の関係が証明されるためです。

そのため、特別な手続きをしなくても産まれた子どもは法律上母親の婚外子となります。

父親が出産するわけではなく、出産時点で子どもとの親子関係が証明されるわけではないため、親子関係とするためには必ず認知が必要です。

もし子供に父親の名字をつけたかったら…?

子どもが大きくなってきて、父親と名字が違うことを不便に感じる場合もあります。

そんな時、子どもの名字を父親と同じにすることは出来るのでしょうか。

父親が子どもを養子縁組して戸籍・氏・親権を全て父親の下に移す

もし子どもの名字を父親と同じにしたい場合は、自分の子どもを養子にするという方法があります。 

血の繋がった子どもを養子というのは不思議な話に思えますが、実際に養子の手続きをしている夫婦は少なくありません。

父親の養子になる手続きをすると、子どもは母親の戸籍から父親の戸籍に移り、名字は父親の姓となり、父親が親権者となります。

家庭裁判所に氏の変更を訴えて認めてもらう

子どもを養子にする場合以外にも父親の認知があった場合に、家庭裁判所の許可を受ければ、父子の名字を同じものにすることができます。

この手続きは親権者しか出来ないため、基本的には母親が行うことになります。

この場合、親権や戸籍については各自で決めることができる

法律婚をした夫婦の場合、親子全員が同一の戸籍に入ります。

ですが、事実婚の場合には親権はどちらか一方になるため、子どもが入っている戸籍の筆頭者と親権者が違う場合があります。

そのため家庭裁判所の許可を得て子どもが名字を変更する場合、親権は父親と母親どちらにするのか各自で決めることが可能です。

この場合協議により親権者を定めることができますが、親権届の届出は必要になります。

ちなみに婚外子になった場合に、相続権を得るには…?

親が死亡した際に得られる相続ですが、婚外子の場合はどうなるのでしょうか。

「認知」をしてもらえば相続権を得ることができる

法律上の夫婦でも事実婚でも死亡した場合はその子どもが相続人となり、相続権を得ることができます。 

ただし、事実婚の場合は、父親が自分の子供だと認知していることが前提となります。

認知されていないと、法律上では親子関係があるとはいえないため、もし父親が死亡しても相続権は認められないのです。

「認知」された場合、婚外子と嫡出子との相続の割合は同じ

婚外子だとしても父親が認知届を提出して認知されていれば、相続権は得ることが出来るとお伝えしましたが、もし自分の兄弟に摘出子がいた場合は相続はどのようになると思いますか?

実は平成25年までは、婚外子は摘出子の半分しか相続されない法律でしたが、現在は改正されており、摘出子と同等の相続を受けることが出来ます。

認知されていない場合は「強制認知」という手段をとることも可能

父親が認知せずに親子関係が成立しなかった場合、法律上の親子関係はないため相続は出来ません。

しかし、認知してくれない場合は子供やその親権者は家庭裁判所に調停を申し立て、さらには、認知のための裁判を起こすことも可能です。

裁判ではDNA鑑定等で生物学的に親子関係が立証できれば、届けがなくても認知の請求は認められます。

この裁判による認知を強制認知と言います。

婚外子の戸籍・認知に関する疑問やトラブルは専門家に相談を!

子供の戸籍や認知は子供の一生に関わる大切な決め事です。認知に関するトラブルも珍しくはないので、そうなった場合早めの専門家への相談が鍵となります。

婚外子の戸籍・認知に関するトラブル(1) 認知をしてくれない

やはり一番多く発生するトラブルが、「父親が認知をしてくれない」というものです。

認知してくれなければ婚外子は法的な親子関係を持つことができません、言い換えれば認知さえしてしまえば父親には扶養義務が当然生じるということです。世の中にはその”当然の義務”を受け入れたくない人も一定数存在するのが実情です。

先ほども説明しましたが、認知をしてくれない場合は”強制認知”の手段があります。これは例えあなたが既婚者との不倫の末に子供を出産した場合でも可能です。どんな状況であろうと子どもなど(母親が子どもの法定代理人として請求することが多いです)から父親に認知請求する権利はあるのです。

強制認知は家庭裁判所の手続き(調停・裁判)が必要になります。

まずは男女問題に強い専門家に相談し自分に有利な状況を整え手続きを進めていくことをおすすめします。

婚外子の戸籍・認知に関するトラブル(2) 認知請求をしないという契約を強制された 

認知請求は当然の権利ですので、例え不倫でも認知をしてくれ、ということはできると説明しました。

ですが同様に多いのが、男性側が不倫関係を解消する際に示談金を払って「認知請求権を放棄してくれ」と言ってくることです。

お互いに合意して示談が成立するのではなく(認知請求権の放棄が法的に有効かは置いておいて)これを半ば強制的に行おうとする男性も中にはいます。

このケースの中には不倫が奥さんにバレていない状況にある男性もいるので、認知請求なんかされたら家庭崩壊まっしぐら、たまったもんじゃない、という気持ちもわかりますが自分のけじめもつけず、ただ何百万とかいう金額を払っておしまい、というのはあまりにも虫が良すぎます。

そのようなケースでもまずは専門家に相談し、どのように対応していくかのアドバイスをもらうことをおすすめします

婚外子の戸籍・認知に関するトラブル(3) 認知したのに養育費を払わない 

養育費は認知を行えば払う義務が生じます。養育費というのは例え支払う能力がなくても原則として免れるものではありません。ですので払わない父親には養育費を請求する方法がいくつかあります。

まず直接交渉することです。養育費の問題になっているということは相手方はどこか別の場所に住んでいることが考えられます。住所を知らない場合はそこから知る必要があります。ですが…交渉と言っても払わない人から払わせるのは正直難しいことです。

次に家庭裁判所に養育費請求の調停を申し立てる方法があります。調停で折り合いがつけば調停証書が発行され養育費を支払わない場合は強制執行(給料の差し押さえ等)が可能となります。

調停で折り合いがつかなければ審判にまで発展することになりますが、協議(示談)の時点から専門家を間に立てていれば泥沼化してしまったときも安心できます。

養育費の示談交渉から裁判での主張まで、専門家に任せられることはたくさんあります。一度状況を説明してみましょう。

婚外子についてさらに詳しく知りたい方はこちらも合わせてご覧ください!

 

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まとめ

事情があってシングルマザーとなる方、事実婚の方にはおのずと関わってくるのが婚外子の問題です。

年々増加傾向にあるとはいえ、まだまだ一般的ではなく周囲からの偏見の目もないとは言い切れません。

ご自身とお子様が後々苦しい思いをしないように、準備や手続きは間違いのないようにしましょう。

詳しい人が周りにいれば問題ないですが、そうではない時は気軽に法律相談をしてみてください。もちろんトラブルの際は早め早めの対処を心がけましょう。

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