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婚外子(非嫡出子)を認知するか養子縁組するかは何が違う?

婚外子(非嫡出子)ができたときに「認知」という手続きがあることは多くの人が知っていると思いますが、婚外子(非嫡出子)と「養子縁組」するという手続きもあるといわれることがあり、混乱している人も少なくないと思います。「認知と養子縁組は何が違い、どちらをする方がよいのか」と混乱する理由には、最近の民法の改正が関わっています。「法律の難しい話」の報道は聞き流してしまったり、読み流してしまいがちですが、婚外子(非嫡出子)ができた男性にとっては、婚外子(非嫡出子)の相続分に関する最近の民法の改正は非常に重要なものなのです。今回の記事には民法の難しい話が含まれてしまいますが、重要な話ですのでしっかりと解説していきます。

婚外子(非嫡出子)ができたときにはどうすればいい?認知?養子縁組?

不倫相手の子供など、あなたに婚外子(非嫡出子)がいる場合、「認知」するという手続きがあることを知らない人はいないでしょう。
 
ただ、婚外子(非嫡出子)ができたときの手続きとしては「養子縁組」というものもあり、「認知と養子縁組がどのように違い、どちらの手続きをするのがよいのかわからない」と感じてしまう男性も多くいるようです。
 
インターネット上にもそれほど明確な答えがなく、特に「養子縁組」は普段使わない言葉ということもあり、混乱することも多いでしょう。
 
実は、この混乱が生じる原因に、最近の婚外子(非嫡出子)に関する民法の改正が関係しています。
 
この改正はテレビや新聞でもたくさん報道されたのですが、「法律の難しい話」だと聞き流して(読み流して)しまった人も多くいるのだと思います。
 
ですが、婚外子(非嫡出子)ができた男性にとってこの改正は非常に重要なものなのです。
 
民法の改正により、「婚外子(非嫡出子)」の「認知」と「養子縁組」をめぐる問題状況がどのように変わっていったのか、それぞれの手続きについても掘り下げながらわかりやすく解説します。

非嫡出子と認知と養子縁組について確認

非嫡出子、認知、養子縁組のそれぞれのキーワードについて、正しい理解をしておきましょう。

非嫡出子(婚外子)とは婚姻中でない男女の間にできた子

嫡出子とは、「婚姻中の男女の間にできた子」のことを指します。
 
非嫡出子は、文字通り、「嫡出子でない子」なので、「婚姻中でない男女の間にできた子」ということになります。
 
未婚の男女間にできた子や、事実婚の夫婦間にできた子、不倫相手や愛人との間にできた子などがこれに当たります。
 
この場合、子供は母親の戸籍に入ることになります。
民法第772条
  1. 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
  2. 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

父親が認知しなければ、父親と非嫡出子との間の法律上の親子関係は認められない

血のつながった親子であっても、法的に親子関係を成立させるためには認知届の提出が必要になります。
 
認知をすることによって、子供が父親の戸籍に移動するというわけではありません。
 
しかし、子供の戸籍に父親が記載され、父親の戸籍に「認知」したという事実が記載されることになります。
民法779条 嫡出でない子は、その父…がこれを認知することができる。

父親が認知しない場合、子や母は認知請求(強制認知・裁判認知)ができる

父親が認知しない場合、母親や子どもは、認知することを父親に請求することができます。
 
民法787条本文によると、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。」とあります。
 
父親が認知を拒否していても、調停や裁判などで認知してもらうように訴えることができます。
 
詳しくは、認知から逃げることはできるのか?|強制認知・裁判認知と認知の拒否についてを参考にしてみてください。
民法第787条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父…の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

父親と非嫡出子の法律上の親子関係は「養子縁組」によって”も”生じる

民法798条は「自己…の直系卑属(子や孫のこと)を養子とする場合」を想定しているため、民法も実の子である婚外子(非嫡出子)と父親とで養子縁組をすることを認めています。

民法810条本文から、養子縁組の場合には、子どもは母親の戸籍を抜け、父親の戸籍に移動することになるので注意が必要です。

民法第798条
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

民法810条本文 養子は、養親の氏を称する。

今では、非嫡出子と養子縁組をする意味は薄れている

冒頭で少し触れましたが、平成25年12月に民法が改正され、民法900条4号但書前段が削除されたことによって、非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分と等しくなりました。

そのため、現在では非嫡出子と父親が養子縁組をして、非嫡出子に嫡出子の身分を与える意義がそこまでないことになってきました。

相続などのために養子縁組をする必要性が薄れたために、養子縁組をすることで戸籍や名字を母親と子供とでバラバラにする必要もなくなったというメリットも生まれました。

つまり、父親の遺産の相続のためという意味では養子縁組をする必要はほとんどなくなったといえるのです。

民法900条4号本文 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

そもそも、出産前に結婚していれば認知せずとも子は嫡出子になる

以上の話は「できちゃった結婚(授かり婚)」の場合には実はあまり関係ありません。

「できちゃった結婚(授かり婚)」の場合には、厳密には「夫婦の結婚期間中にできた子」ではないのですが、出生届を提出することで子どもが嫡出子になるとされています(判例・実務)。

したがって、「できちゃった結婚(授かり婚)」の場合、認知届を別に提出する必要はないことになっています。

つまり、子の出産前に結婚すれば、認知も養子縁組もなしで嫡出子とすることができます。

この場合、通常の結婚期間中にできた子と同じ扱いになるので、両親と子供ははじめから一つの戸籍に入ることができるようになります。

ただし、本当の子でない場合には、結婚しても出生届を提出しても、嫡出子にはならないことに注意してください。

このような「できちゃった結婚(授かり婚)」をしたものの、子どもが奥さんと夫以外との間の子だったという場合には、親子関係不存在確認調停を申し立てることになります。

また、出産後に結婚する場合も、認知していれば嫡出子になる(準正)

出産前の結婚では認知をせずとも子は嫡出子となることがわかりましたが、出産後の結婚の場合には認知をした場合に限り子は嫡出子になります(「準正」といいます)。

結婚が出産に間に合わなかった場合でも、「認知」の手続きが一つ増えるだけで、そこまで慌てることはありません。

ただ、戸籍上に「認知」したことなどが記載されるのを避けるためには、なるべく出産前に婚姻届を提出しておくことが望ましいといえるかもしれません。

この「準正」の場合にも、両親と子供は一つの戸籍に入ることができ、認知や準正が記載されること以外に関しては「できちゃった結婚(授かり婚)」の場合と戸籍の状況は変わりません。

また、認知のタイミングは出産前でも出産後でも、結婚前でも結婚後でも構いませんが、出産前・結婚前に認知しておくほうが出産・結婚後に慌てず済む場合も多いでしょう。

民法第789条
1項 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2項 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。

現在でもあえて非嫡出子と父親とで養子縁組する意味はある?

では、婚外子(非嫡出子)と父親が養子縁組をする意味はあるのでしょうか。

特に法的な意味はない

嫡出子と非嫡出子の相続分は等しくなったので、養子縁組をして嫡出子にする必要性は減少したといえるでしょう。
 
非嫡出子が父親の遺産を相続するためには、認知されることが必要ですが、先に紹介した「認知請求」を行えば強制的に認知を受けることができるため、相続に関して非嫡出子であることによる問題はありません。
 
認知をすれば、養子縁組をしなくとも、父親側が親権を得ることもできます。
 
養子縁組をしなくとも、子の氏の変更許可申立てをすれば、父親側の名字にすることもでき、戸籍も父親側に移すことができます。
 
また、そもそも両親が結婚する場合は準正により嫡出子になるので養子にする必要はありません。
 
養子縁組をする意味が発生するのは、父親が子の「非嫡出子」という身分を感情的に嫌う場合や、「嫡出子」という身分に感情的にこだわる場合などに限られると考えられます。

逆に、養子縁組をすることによるデメリットもある

まず、父親と子供とで養子縁組をすることによって、子供は父親の戸籍に入り、父親の名字を名乗ることになります

婚外子(非嫡出子)の場合は、子ははじめから母親の戸籍に入り、母親と同じ名字を名乗ることになるため、養子縁組により戸籍や名字が父親に移ると、母親にとっては、子供を奪われた気分になるかもしれません。

それだけではありません。

父親が独身である場合でも配偶者がいる場合でも、養子縁組をすることで親権は父親側にわたり、実の母親は親権を失ってしまいます(民法818条2項参照)。

親権を重視するお母さんは多いでしょうから、父親に養子縁組を持ちかけられた場合にはこの点をしっかりと考えなければなりません。

また、婚外子(非嫡出子)の養子縁組を検討するときには、その子が未成年であることも多いと考えられますが、そのような未成年の子を養子にする場合で、父親に配偶者がいる場合には、父親夫婦が共同して子と養子縁組をしなければなりません(民法795条)。

つまり、自分の子の父親の奥さんが自分の子の母親(養親)となり、自分の子の親権者ともなります

自分が子の親権を失うのに、本当の母親でない女性に親権がいくというのは、感情的に納得がいかないという人もいるのではないでしょうか。

この場合でも、親権のない実の母が監護権を持つということはできます。ですが、親権と監護権を分離することにはデメリットもあるので、養子縁組のメリットが薄れた今、このようなリスクをわざわざ負う必要はやはりないでしょう。

子の戸籍や名字が変わったり、子の親権を失っても、それでも子に父親の遺産を多く相続させたいという母親が民法改正前にはいたのだと思われますが、上述したように民法が改正された今、このような理由で養子縁組を考える必要はないわけです。

母親による子供の監護が著しく困難又は不適当な場合、父親が妻帯者の場合は、特別養子縁組を検討する余地はある

このように、養子縁組を検討する実益は乏しいといえますが、母親による子供の「監護が著しく困難又は不適当」であるような場合には、普通養子縁組ではなく「特別養子縁組」を検討する余地があるでしょう。
 
たとえば、母親が子どもに対し、身体的・精神的な虐待をしているような場合がこれに当たります。
 
特別養子縁組の場合、母親との法律上の親子関係を終了させることができるので、相続権は失いますが、子から親への扶養義務も消滅させることができるという普通養子縁組にはないメリットがあります
 
また、母親を子に隠したいという特別な状況にある場合には、戸籍上実の母親が記載されなくなるという点も、普通養子縁組にはないメリットでしょう。
 
ただし、父親の夫婦と子供が特別養子縁組をしたことは記載される点には注意が必要です。
 
もっとも、特別養子縁組をするためには、以下のような条件があります。
  • 父親が妻帯者である
  • 父親が原則25歳以上である
  • 子が原則6歳未満でなければならない
このように、特別養子縁組の要件は非常に厳格です。
 
実際には、母親の監護に問題があるとしても、認知をしてさえいれば、親権者変更調停の申立てや、親権の喪失・停止の審判の申立てによって母親の親権・監護権を奪うことができますので、そちらをまずは考えるべきでしょう。

非嫡出子の認知と養子縁組に関する注意点

婚外子(非嫡出子)と養子縁組をする場合、認知する場合、どちらにも注意点があります。

現在では、基本的には認知をすれば養子縁組は必要ない

法律上の「嫡出子」の身分にこだわる場合や、戸籍に母親を表示させたくないほどに母親に問題があるような場合を除いて、現在の民法上では認知のほかに養子縁組をする必要はないといえます。
 
親権行使に問題があるとしても、認知をしていれば、親権者変更調停の申立てや親権の喪失・停止の審判の申立てによって対応が可能です。

認知をしないという対応は難しい

強制認知の制度がある以上、「認知を絶対にしない」という態度を貫くことは難しいでしょう。
 
「認知をしない」という契約もできないことになっているため、認知をしないという親子関係のあり方について親子三者間で理解を深め合い、認知請求を控えてもらうしかありません。
 
詳しくは認知から逃げることはできるのか?|強制認知・裁判認知と認知の拒否についてが参考になるでしょう。

非嫡出子関係で困ったことがあれば弁護士に相談を

ここまで見てきたように、非嫡出子に関する法律はとても複雑で、しっかりと理解して適切な判断をするのは難しいといえます
 
しかし、相続や扶養や親権は、親子にとって重要な問題です。
 
重要な問題だからこそ、自力で不安なまま手続きをするよりも、弁護士に相談して解決を図ってもらうべきでしょう。

非嫡出子(婚外子)と認知・養子縁組について知りたい人は合わせて読んでみてください

婚外子(非嫡出子)を認知するか養子縁組するかは何が違う?のまとめ

現在では、婚外子(非嫡出子)と父親とであえて養子縁組をする必要は薄れていることがわかりました。
 
とはいえ、あえて養子縁組をすることが許されないわけではなく、家族のあり方にはさまざまなものがあるでしょう。
 
何が一番子どものためになるのかという観点を忘れないようにし、弁護士と相談のうえ、最もよい解決方法を探しましょう。
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